皆様

すでに再三にわたってお伝えしておりますように、本年はアイゼンハワー米大統領が
1953年12月8日国連総会で、「平和のための原子力」(Atoms for Peace)と題する歴史的な
演説を行い、原子力時代の開幕を宣言してから50周年で、これを記念したイヴェントが
世界各地で開かれております。日本では、(社)日本原子力学会の主催、EEE会議等の後援
により、「日本とアジアのための原子力平和利用」(Atoms for Peace in Japan/Asia)を標題と
する会議が、9月29〜30日、東京・中央区の日本橋東友会館で開催されます。

この会議では、過去50年の原子力平和利用の歴史を回顧、反省し、その教訓を踏まえて
今後の展望や活動指針などについて市民(NGO)の立場で自由に議論し、適切な政策提言
を行うことを目指しております。 

なお、この会議は、原子力学会の企画委員であり、同時にEEE会議特別会員である天野 治氏
が中心になって企画、準備されたもので、当EEE会議やエネルギー問題に発言する会も後援
団体として当初から関与しており、その関係者も多数(池亀亮氏、益田恭尚氏、河田東海夫氏、
山地憲治氏、鈴木達治郎氏、伊東慶四郎氏、小生など)これに関与しております。

EEE会議会員の皆様からは、すでにご出席のご返事を多数いただいておりますが、会場スペ
ースになお若干の余裕があるようですので、まだお申し込みをしてない方も、是非ご来場くださ
いますよう、また、ご友人や知人にも出席を勧奨してくださいますよう、改めてご案内申し上げる
次第です。

金子熊夫拝


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<プログラム>

「Atoms for Peace in Japan/Asia 会議」

   〜変革のとき、50年を振り返り、これからの50年を考え始めよう〜

主催: 日本原子力学会
後援: EEE会議、エネルギー問題に発言する会、日本原子力産業会議、    
             日本原子力文化振興財団

会期: 2003年9月29日(月)、30日(火) 
会場: 日本橋東友会館(東京中央区新川) 
会費: 10,000円(学生半額)

司会進行:吉岡 理穂(東電)、西村さとみ(原子力学会)



1日目(9月29日(月)) <50年を振り返る>

9:30-9:40          開会の挨拶  斎藤 伸三 原子力学会会長 

9:40-10:20        開会の意義と米国での「アトムズ フォー ピース」 (40分) 
             金子 熊夫氏 (EEE会議代表)

10:20-11:30  キーノートスピーチ T (何を失敗し、何を学び、何を提言するか。)

・商業の利用としての原子力発電 50年 (40分) 池亀 亮氏 (発言する会)

・原子力を支えた物つくり 50年 (30分)   益田 恭尚氏(電工会)

11:30-13:10昼休み 

13:10-14:40 キーノートスピーチ U (何を失敗し、何を学び、何を提言するか。)

・原子力研究開発としての50年 (30分) 早田 邦久氏 (原研)

・核燃料サイクル開発の50年 (30分) 河田 東海夫氏  (サイクル機構)

・戦後復興から、国として官としての50年 (30分) 伊原 義徳氏(元科技庁)

14:40-15:10 コーヒーブレイク

15:10-16:30 キーノートスピーチ V (何を失敗し、何を学び、何を提言するか。)

・放射線の影響を正しく評価してきたか?  (40分) 近藤 宗平氏(阪大名誉教授)

・長期エネルギー展望における原子力の位置付け(50年前、現在、50年後を考える)
 (40分)
    山地 憲治氏(東大)



2日目(9月30日(火)) <これからの50年に向けた提言(競争による創意・工夫の
活性化、正しく怖がる・理解する・発信する、国際的視点、歴史的視点からの備え)>

9:30-9:45    キーノート 天野 治氏(企、東電)今後50年にむけて、どんな点を
議論すべきか

9:45-11:50  キーノートと討論 第一部

・競争による創意・工夫の活性化: モデレータ 松本史朗氏(元企長、埼玉大)、

STEPHEN.L.TURNER(SAIC 副社長)

 ・協力:柳沢 務氏(サイクル機構)、天野 治氏(企、東電)、諸葛 宗男氏(東芝)、 
           鈴木 達治郎氏(編、電中研)

11:50-13:30 昼休み


13:30-15:30 パネル討論 第二部 

 ・正しく怖がる・理解する・発信する: モデレータ 福田 研二(企長、九大)

 ・正しい放射線影響の認識に向けてー低線量放射線リスクと研究の現状ー
        丹羽太貫氏(放射線影響学会)

 ・放射線の健康リスク評価システムの開発について 伊東 慶四郎氏(政策科学研)

 ・協力:村尾良夫(企、安全委事務局)、石橋 健二氏(九大)、小川 順子氏
(WIN-Japan)

15:30-16:00 コーヒーブレイク

16:00-17:00 パネル討論 第三部 

・国際的視点、歴史的視点からの備え: モデレータ 宅間 正夫氏(原産)

・協力:前田肇氏(元関電)、池本 一郎氏(電中研)、和嶋 常隆氏(元日立)、金子熊夫氏 
    (EEE会議)、窪田秀雄氏(原産)

17:00-17:20 総括(提言、議論を深める点)と第2回へ向けて=天野 治氏(企、東電)

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<ポスター展示>

50年の年表、イベント概要、写真等

協力: 西 高志(企、日立)(予定)、柳原 敏(企、原研)、石川 博久(企、サ
イクル機構)

日本原子力文化振興財団

注)企は学会企画委員、企長は企画委員長、編は編集委員



○ 問い合わせ先: 原子力学会企画委員会 Atoms for peace in Japan 実行委員会
 
            天野 治氏(東京電力)

電話 045-613-5201, FAX 045-613-7899, E-mail: amano.osamu@tepco.co.jp


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<会議の趣旨と概要紹介>

○開催の趣旨: 

米国のアイゼンハワー大統領の原子力平和利用演説はちょうど50年前の1953年12月8
日に行われた。米国ではそれを記念して本年4月から4回にわたり、軍事的側面、平和
利用の側面両方からこれまでの50年の総括と今後の50年の展望を議論しているところ
である。わが国でも、米国の議論を踏まえつつ、50年の歴史を歴史と伴に歩んだ先輩
方に振り返っていただきながら、今後の50年のあるべき姿をさまざまな角度から分析
し、幅広く提言していくことを目的に本会議を開催する。

○ねらい:

「過去の50年から何を学んだか、何を反省するのか。」を踏まえて、今後50年通用す
る理念、哲学等を提言していく。50年目は節目であり、我々はどこまでたどり着いた
のかも明確にしたい。

○プログラム構成:

1日目は各組織、団体を代表して、過去の50年を振り返り、本来の在るべき姿からど
のように乖離したか、それはなぜか、今後どうすればいいかを歴史的視点も加味しな
がら紹介する。2日目の次の50年での提言では「競争による創意・工夫の活性化」、
「正しく怖がる・理解する・発信する」、「国際的視点、歴史的視点からの備え」を
メインテーマに、項目毎にモデレータが紹介し、フロアとの質疑応答を行う。

○背景:

 核エネルギーは驚異的であり、米国が独占管理しようとしていた。しかし、旧ソ
連、英国が相次いで核実験に成功、商業機でも旧ソ連、英国、カナダ等が独自の開発
を進めていた。そこで、軍事利用と平和利用の両面で、米国が世界の主導権を確保す
るため、「アトムズ フォア ピース」演説が行われた。その一方で大戦を終わら
せ、世界平和をもたらすための原子力爆弾開発にたずさわった米国の科学者の中に終
戦後深い反省の念が生まれた。真の世界平和を目指し国連の機能に期待しつつ原子力
エネルギーの平和利用に取り組む強い意志となって表れたとも言える。原子力を平和
的に活用することのみに邁進してきた日本は、50年という歳月、基礎と商業化の両方
を回しながら技術の蓄積を図ってきた。「50年経ち、我々はどこまで来たのか。」
「これから何をしなければならないのか。」

一方、石油も天然ガスも掘削技術の向上により、埋蔵量が次第に増えている。その中
で我々が当初描いていた資源論というのが本当に正しかったのかという疑問もある。
他方、中国をはじめとするアジア諸国の経済的発展が目まぐるしく進んでいる。この
経済的発展を支えるのはエネルギーである。アジアのエネルギー消費如何によって、
徐々に増える埋蔵量と増大する消費量がどうバランスしていくのか。また、資源の掘
削は周辺を汚染させてしまう。石油タンカー等のピストン輸送がどれだけのリスクを
はらんでいくのか、資源を消費することにより地球をどの程度汚染させるのか。もち
ろん原子力も地球を汚染させる。

汚染の程度、管理技術を含めて、我々の将来のあるべき姿をどのような観点から将来
を考えるべきなのか。論理的に多方面から議論する必要があると考える。アジアに位
置する者として、日本の原子力活動(たとえばPuの海上輸送)が、アジア太平洋諸
国にどういう影響を与えているか、あるいは日本の大量石油消費がアジア開発途上国
のshareにいかに食い込んでいるか、などという視点(=アジアが客体)と、アジア
自身のエネルギー安全保障政策の一環としての原子力導入政策に、技術先進国たる日
本がいかなる貢献をなすべきか、あるいは、アジアの環境保全(たとえば京都議定書
のCDM)に日本としていかなる協力を行うべきかという視点(=アジアが主体)、
これらの視点をバランスよく議論することが肝要である。

このような観点から、「アトムズ フォア ピース イン ジャパン(アジア)」を
企画する。

これは、シニア、ミドル、ヤング、そして学生および若い人達皆で議論すべき問題で
ある。次の50年、あるいはもっと身近な10年、20年を考える最初の先駆けとして、こ
の会議が位置付けられ、次年度の学会や他のいろいろな場で議論が始まることを期待
する。