EEE会議(Re:福井県の「原発カード」: 効果は疑問?).........................................................031204


一昨日(12/2)お伝えした福井県における「原発カード」問題に関する続報です。
熱田利明氏ご提供。 ご参考まで。
--KK

***************************************

[原発・収支決算]福井発 第2部/3 原発カード 効果には疑問の声も
 (毎日新聞福井県版、2003年12月3日) 
http://www.mainichi.co.jp/area/fukui/news/20031203k0000c018002000c.html

新幹線の国交省に利害なく
 「北陸新幹線の要望承りました」
 “ミスターもんじゅ”と呼ばれている核燃料サイクル開発機構の菊池三郎・特別技
術参与のもとに自民党国会対策委員長の中川秀直衆院議員からはがきが届いた。中川
議員とは科学技術庁長官時代から親しくしており、はがきは衆院選の当選祝いの返礼
だったが、菊池氏は余白に手書きで記された一文に喜びを禁じえなかったという。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 菊池氏は先月18日、上京して県北陸新幹線建設促進同盟会(会長、西川一誠知
事)が開いた「北陸新幹線県内着工実現大会」に出席。その後、もんじゅと北陸新幹
線のパンフレットを手に地元選出や文部科学省に影響力のある国会議員約60人を
回った。「これが決まらないと私の仕事は終わらない」。応対した国会議員は口々に
「もんじゅと取引なんだな」と漏らしたという。
 菊池氏は新幹線ともんじゅについて「直接の連動、ではないが、行く先に大きな石
があって同じ福井県としてよけて通れないのならば、一緒に取り除くのは当然でしょ
う」。そして「県最大の政治的課題が取れれば、(もんじゅも)後はすっと行く。い
ろんなものが熟しはじめている」と、もんじゅの将来が新幹線にかかっていることを
明言する。
 だが、“原発カード”の効果に疑問を持つ人は少なくない。「前回、原発はカード
としてまったく機能しなかった」というのだ。整備新幹線の建設計画(スキーム)が
見直された00年。県は、ちょうど改造工事の安全審査入りで事前了解の段階にあっ
たもんじゅをカードにして地域振興を求めたが、念願だった北陸新幹線の工事認可区
間の延伸は結局、金沢までにとどまり、県内着工を勝ち取れなかった。
 前回の見直し時に県の駆け引きを見てきた関係者の1人は「いくら原発カードと
いっても(整備新幹線を所管する)国土交通省の役人にとって原発は貸し借りの中に
はない。事務的駆け引きではカードにならない」という。つまり、縦割り行政の中
で、文部科学省が推進するもんじゅと、経済産業省が所管する敦賀3、4号機は国交
省にとってなんの利害もないというわけだ。
 それを証明するかのように9月22日、石原伸晃・国交相は就任会見でスキーム見
直し時期について、「九州新幹線新八代―西鹿児島間の(来年)3月開業を待って見
直しされるものと承知している」と、県が求める年内の見直しを否定。地元政界では
「就任会見でわざわざ言及するからには、思いつきではなく、国交省か官邸サイドが
意図して言わせたのだろう」という見方が支配的だ。
 「利権を狙い、原発カードに政界実力者が食いついている。見直しをやることにな
ればいい結果が出るのではないか」「仮に見直しになっても財源がなく、着工区間が
優先される。せいぜい福井駅高架化事業などに予算がつくくらいでは」「長崎との綱
引き。長崎には与党整備新幹線建設促進プロジェクトチーム座長の久間章生衆院議員
がいるので厳しい」
 北陸新幹線を巡り、さまざまな観測・憶測が乱れ飛ぶ中、もんじゅは安全性や核燃
料サイクルという本来の意義を離れたところで、もてあそばれている。 =つづく