040119  余談:中国による「金正日暗殺構想」


今朝拙宅に舞い込んできたあるメルマガにこんな記事が載っていました。
ここで引用されている日高義樹氏(外交評論家、元NHKワシントン支局長)
の意見に小生が全面的に賛成している訳ではありませんが、1つの情報と
して聞いておく価値はあると思い、とくにご紹介する次第です。
--KK

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<中国による「金正日暗殺構想」と6カ国協議での目的>


中国政府による「金正日暗殺の構想」は、12月はじめ書店の店頭に
出た、ハドソン研究所(「ネオコン」系)の日高義樹氏のリポート
、『アメリカ軍が日本からいなくなる』(PHP研究所刊)で述べ
られている。 

日高氏の知人であるワシントンの外交筋の話として、2003年7月28日
にジョン・ボルトン国務次官が中国を訪問した際に、中国の首脳が
「金正日暗殺の構想」を持ち出したという。ボルトンと会談した中
国首脳は、
「最悪の事態になったら暗殺する」
「金正日に核兵器の開発をやめさせることは可能だ。金正日が中国
のいうことを聞かない場合には、1週間以内に暗殺することもでき
る」
と言ったそうだ。
 このワシントンの外交筋の知人は、暗殺の時期について、自らの
見方としてだが、「2006年が最もありうる」とも言ったそうだ。

また、中国エージェントの暗殺工作の準備が進んでいるのではない
かという見方にも触れているが(CIAには不可能)、実際、昨年
7月のボルトンの北京訪問以来、アメリカの対北朝鮮政策のトーン
は落ちた。

中国による、この構想の着想の背景としては、「米中蜜月」、近年
の米中間の経済・貿易面での相互依存関係がある。今でも、例えば
落合信彦氏などが声高に叫ぶ「米中衝突」など、2003年3月に発足
した胡錦濤政権以前の話だ。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/160107.htm

北朝鮮戦争になってアジア経済が混乱すれば、中国経済が混乱し、
それに大きく依存するアメリカ経済も多大な打撃を被る。

また米中戦争は、双方の戦力が拮抗レベルに近いに状態に置かれて
いなければ発生しないが、「中国の軍事力はアメリカより30年遅
れている」といわれ、戦力格差の点からも中国の軍事行動は不可能
だ。この戦力格差は何十年以上たっても、長期的に縮小しないとい
う予測もある。

リチャード・パールなどとともに、国防政策委員会の重要メンバー
であるジェームズ・シュレンジャーは、米中間での経済協力依存関
係の現状を論拠に、「台湾海峡で米中が対決するという考えは古い
。中国と台湾が台湾をめぐって戦争するなどというのは新しい時代
がわかっていない人の言い草だ」と日高氏に述べたそうだ。

さらに台湾問題についてシュレンジャーは、「中国の胡錦濤政権と
ブッシュ政権は、香港のケースを手本にして台湾と中国本土の合併
を話し合った。香港と同じような条件であれば台湾も中国も妥協で
きるはずだ」とも話したそうだが、日高氏は、中国政府とブッシュ
政権は台湾問題についてすでに話し合いがついていると推測してい
る。

中国は隠し球、金正日暗殺のオプションの用意の見返りに、アメリ
カに対して、
 ■中国が台湾を香港と同様な形式で合併する
 ■金政権崩壊後の朝鮮半島の実質的な管理・支配権
を当然すでに要求しているはずだ。

第1回の6カ国協議以降、2回目、3回目の6カ国協議というイベ
ントを通じて、中国は「金正日暗殺」という台湾問題・貿易問題の
ための取引道具の「値段」を、2、3年かけて吊り上げていく姿勢
を水面下でとるだろう。アメリカが中国などが反対するPSI発動
を盾に、今年3月末までに「核開発断念宣言」などの核放棄を強硬
的に北朝鮮に迫るのは、米中間でのその「値段」の駆け引きにもな
っている。
 つまり当然のことながら、中国にとって「6カ国協議」は政治取
引の道具でしかなく、拉致問題の解決を他国に求めるしかない無能
な国家、日本はただ翻弄されているだけだ。

主権国家が自国の力で拉致被害者を取り返すことができないのは、
国家に軍隊が存在せず、それが機能していないため、徹頭徹尾舐め
られているからであり、極論を言えば、核兵器と弾道ミサイルの照
準をピョンヤンへ向けて、「さあ、拉致被害者を返せ」と言うのが
、本来の形の「外交」というものだ。アメリカ、イギリス、中国、
ロシア、これらの主権国家の外交の方法論の本質は、「軍事力を背
景にした外交」、「極論」としていま述べた軍事力を基礎に置いて
いる。

DOMOTO