Subject: EEE会議(Re: またもや日本核武装論)
Date: Mon, 6 Jan 2003 21:46:42 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

昨日「日本核武装」に関するワシントンポスト紙掲載論文をご紹介しましたと
ころ、早速幾人かの方々から、これに対するコメントをいただきました。その
中の1つをご参考までにお目にかけます。 コメントへのコメントも歓迎。匿
名可。
金子熊夫 拝

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早速ですが、ワシントンポスト紙の記事について若干の感想を書かせていただ
きま
す。
まず、第一印象としては、この記事の背後にある思考様式は二極対立のパラダ
イム下
でのパワーポリティックスにおけるこれまでのアメリカの成功の原動力である
と同時
に、多発テロに象徴される危うさの源でもあるのだろうということです。それ
は合理
的かつ戦略的なアプローチのように見えますが、畢竟、人間性に対する洞察が
欠落し
たナイーブな空論と言わざるを得ません。より単純に言えば、「人を人とも思
わな
い」「傲岸不遜」な野蛮人的発想であり、一応の知的レベルを備えているはず

ジャーナリズムの発言としては真に驚くべきことと申せましょう。

しかし、一方、こうした発想ができるし、現にしたりする人々が世界のスー
パーパ
ワーであり、私たちの安全保障・経済システム上の不可欠のパートナーである
ことも
悲しいかな現実であります。私たちはこのような人々の発想やその限界を十分
認識し
たうえで、持てるパワーを正しい解決への道に上手に導いてやらなくてはなり
ませ
ん。そのための詳細な方策についての考えは限られたスペースでは論じ切れま
せんの
で別の機会に譲りたいと思いますが、基本的には「原子力」という技術を国際
公共財
として超国家的な管理のもとに置くスキームを「育てる」ことだろうと考えま
す。
「原子力」技術からもたらされる経済的な恩恵をあまねく世界全体に分配でき
るため
の仕組みをつくり、国際世論の力でそれ以外の用途を封じるのが上策と思いま
す。現
在のNPTの仕組みは、その点、原子力技術の果実が一握りの当該国にしか帰属
しない
という点で、世界的な支持を集める力を持ち得ないと考えます。つまり、
「WIN-WIN」のスキームでない限り“北朝鮮の”核兵器開発問題は根治不能な
ので
す。北朝鮮がやめてもどこかで誰かがまた始めるだろうからです。

日本が今なすべきことは「世界に先駆けて」そうした考え方を国際社会に提唱
するこ
とではないでしょうか。変化に的確に対応して構造改革することではなく、望
ましい
変化を作ることこそ重要だと多くの日本人が理解してくれるよう新年にあたっ
て切に
望むものです。