Subject: EEE会議(Re: 日本核武装論)
Date: Tue, 7 Jan 2003 21:20:13 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

一昨日「日本核武装論」に関するワシントン・ポスト紙(1月3日)の論文
「ジャパン・カード」をご紹介しましたところ、本日配信のNewsweek Japan
Onlineメールマガジン(No.146I)にも、次のような関連記事が載っている旨、
堀雅夫氏(原子力システム研究懇話会)からご教示いただきました。大分きな
臭い話になってきましたが、コメントのある方はどうぞ。 メールはなるべく
簡潔にお願いできれば幸いです。
金子熊夫
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【編集長コラム】

★目前に迫る北朝鮮危機★

 新年早々から暗い話で恐縮だが、北朝鮮の脅威がいよいよ大きくなっている
(本誌1月15日号参照)。IAEA(国際原子力機関)の査察官を昨年大晦日に追
放し、核開発を進める意図を明らかにした。アメリカを交渉に引きずり込むた
めの「瀬戸際外交」であろうとは思うが、それにしても核兵器をもてあそぶ金
正日の本心がどこにあるのか、誰にもわからないから不気味である。
 もし北朝鮮が核保有国になったら、東アジアの安全保障の枠組みは一変す
る。ロシア、中国という核保有国に北朝鮮が加わることになるというだけでは
ない。外交的に孤立した国が核武装した場合の不安要因は非常に大きいのであ
る。核が他国を脅すための手段として使われる可能性が生まれるからだ。
 いいか悪いかは別として、核を保有する国が生まれれば、それに伴って恐怖
の均衡を保つために核武装する国がその周辺に増え、そのために暴発する危険
も増える。もし核戦争が始まればその影響はその地域だけではすまない。イン
ドとパキスタンの間で核戦争が始まるのではないかという危機感が世界中に広
まったのもそのためだった。だから核をこれ以上拡散させないようにするとい
うのが、現在の世界の了解事項となっている。
 もちろん核不拡散は、核大国のエゴであるという見方もできる。しかし人類
が開発した最悪の大量殺戮兵器であるから、それを管理できる国ならともかく
管理できない国が保有するのに反対するのは当然である。どの国でも核兵器で
自衛する権利があるという論理は到底承服することはできないのである。
 さて北朝鮮が核武装したとすれば、日本はどうするのだろうか。外交的な努
力はもちろんだが、日本をどのように防衛したらいいのか。日本の自衛隊は、
現在のところどこかの国を攻めるような兵器を保有していない。爆撃機もなけ
れば、空母もなく、そして揚陸艦もわずかしかない。陸上部隊を送りこもうに
も、空からの援護なしにやらねばならない。これは不可能な話だ。
 そうなると論理的な帰結はただ一つ。日本も核武装して恐怖の均衡を保つと
いう選択肢しかないのである。あるとき防衛庁の幹部がつぶやいたことがあ
る。「最終的には究極の抑止力としての核武装しかないんじゃないか」。もち
ろんこうした議論が防衛庁の内部でおおっぴらに行われているわけではない
が、現実的に物を考えれば「日本核武装論」というのはそれほど突飛な話では
ない。
 そして日本は核武装するための材料も技術もすべてそろっている。もちろん
北朝鮮に続いて、韓国、日本が核武装するなどという話は東アジアのみなら
ず、世界にとっても悪夢であるし、日本人にとっても悪夢である。しかし安全
保障という問題をまともに考えようとするなら、この「悪魔の選択」を考慮し
ないというわけにはいかないのである。われわれ日本人は、世界唯一の被爆国
であるという事実から、とにかく核を悪いものとして廃絶を唱えてきた。それ
はそれで貴い努力に違いないが、核武装によって自らの存在感を強めようとす
る金正日の耳には残念ながら届かない可能性が大きいのである。(藤田)