Subject: EEE会議(Re: 日本核武装論)
Date: Mon, 13 Jan 2003 14:42:46 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

目下話題になっている日本核武装論に関連して、次のようなメールをいただき
ました。送信者は海外で活躍している著名な日本人学者(アジア太平洋の安全
保障問題が専門)です。
金子熊夫
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日本核武装論が米国でかくも熱いとは、不覚にも知りませんでした (先日当地
の韓国の外交官にも質問されたので、「お宅の方が、その可能性は高いで
しょ」と言い返しましたが)。大変よい勉強になり、有り難うございます。私
見ではむしろ韓国の核武装の方が可能性大だと思います。韓国では、独自の核
武装努力の前科があるうえー北朝鮮核開発もいわば身から出た錆ですがー、
北朝鮮の核・ミサイル問題を曖昧にしたまま、あわよくば統一後それらの兵器
技術をそっくりものにしよう ー国防研究の専門家の間でもオフレコ発言でー
という論調をよく耳にします。韓国の大衆は一般的に「北朝鮮が同胞民族であ
る韓国を大量破壊兵器で攻撃するはずがない、これは日本と米国にとってだけ
の問題だ」というナイーブな思い込みが広がっているようです。韓国での反米
感情がこれに輪を掛けています。したがって私の見解では、日本の核武装は、
アジアのnuclear chain reaction がおきれば理論的にはありうるけれども、
韓国・台湾よりも先に核武装が先行することは理論的にも絶対にありえないと
思ってます。この点、そもそも核兵器に関して、「悪者日本への懲罰、日本の
早期降伏を促した」というpositiveなイメージの素地がある中国・朝鮮半島
と、実際に原爆の地獄を経験した日本人との潜在意識の相違は、決定的だと思
います。また、これは私の以前からの議論ですが、日本はとりあえずミサイル
防衛(defensive option)を当てにしているので、いきなりoffensive option
に飛びつくことはなく、この点はミサイル防衛のプラス効果だと思います。

<匿名希望>