Subject: EEE会議(Re:日本核武装論)
Date: Tue, 14 Jan 2003 20:53:13 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

一昨日、日本核武装論に関する海外有識者の意見をいくつかご披露しました。
また、日本核武装論は所詮academicな議論で単なる「頭の体操」であるとか、
こうした問題を米国人が議論するのは結構だが、日本人同士で議論するのは
国際的に誤解を招くのであまり好ましくないという批判的な意見があることも
ご紹介しました。これらの意見に対して、東工大の澤田哲生氏より次のメール
をいただきましたので、ご参考まで。
金子熊夫
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下記のコメント2件(日本核武装論に関する外国人のコメント)、もっともか
と思います。もっとも、これらは現状維持的な見解であると拝察いたします
が、日本の意志のみでどこまでその現状が維持できるかに先行き不透明な
ものを感じます。それこそ“頭の体操”しておかなければならないのかもし
れません。

おそらく10年〜20年のレンジならば現状維持も可能かもしれませんが、
NPTというレジームがそれ以降も長きにわたって意味を持ち続けるのかど
うか。NPTを遵守することと、NPTがどこまで存続するのかは別問題で、
NPTありきののような発想では今後の国際情勢に対応できないかも知れま
せん。(NPTは、科学技術のもつ両義性と人類の繁栄をどのようなかたちで
追求するかというもののひとつの道筋を条約という形で合意したものと思わ
れます。また、明らかな不平等条約という点が、常に問題になっているよう
にも思います。)

“米国人などが議論するのは結構だが”という気持ちも良く分かりますが、日
米安保が永続するとは考えにくいのではないでしょうか。(そもそも、これは
米国に任せておけばよいという責任論の問題も含んでおり、日米安保では
むしろ米国の利するところが大きいのだとも言われますが、安保ただ乗り論
を刺激しかねないとも思います。)

永続というのは誇張しすぎですが、10年−20年のレンジでも、日本が将来
どのような局面に対峙させられうるかを“頭の体操”しておくのも意味がある
のではないでしょうか。所詮academicな議論とおっしゃる気持ちも分かりま
すが、仮にアメリカ依存で逃げ切れなくなったときのことは考えておく必要が
あるとも思います。

そもそもできれば触れないで(寝た子を起こさないで)済ませたいこと(憲法
改正もそうですが)は幾つもありますが、今の世代の問題として取り組むこと
ではなく、次世代以降の関係者が遠い将来に取り組めばいい話なのだとい
う先送り的発想さも見え隠れしているように思います。

勿論、為にする日本核武装論やあらぬ誤解によって日本の原子力平和利用
の足元をすくわれてはいけないのですが、日本が米国の核の傘下にある以
上、核と原子力平和利用との関係を考えることにはそれなりの意義があるよ
うに思えます。

少なくとも私の貧弱な経験からすれば、原子炉システムの核拡散抵抗性の
評価を行っている米国のある専門家は、日本の研究者のこの問題に対する
認識・取組方が甘いという苛立ちを示しておりました。

以上、雑感まで。

東工大、澤田