Subject: EEE会議(イラクと北朝鮮の比較)
Date: Wed, 22 Jan 2003 10:16:11 +0900
From: "金子 熊夫" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

このところイラクと北朝鮮 に対する米国政府の対応振りにかなりの違いが存在する
ことがはっきりしてきましたが、今朝受信した例のメルマガがこの点を要領よく簡潔
にまとめています。勿論、実際にはもっと複雑な事情も多々あり、果たしてこのよう
な単純な比較が妥当かどうか疑問もありますが、石油(の有無)問題が1つの重要な
ポイントであることは確かでしょう。 ご参考まで。 関連情報やコメントを歓迎し
ます。
金子熊夫
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  ◆イラクと北朝鮮に対する米対応の違いの背景◆


 ロンドンの国際戦略問題研究所(IISS)発行の「ミリタリーバランス」
最新号によると、規模だけに限れば北朝鮮の軍事力は世界第3位、100万人
。イラク軍は第5位の43万人だ。中国、米国が1、2位。4位はロシア軍の
98万人。

 イラクと違い北朝鮮の核問題では、外交的手段を通じた平和的解決を追求す
るという米国の対応は、ひとえにこのイラク軍よりも北朝鮮軍の方が強大とい
うのが第1の理由。

 第2の理由は、イラクがその大量破壊兵器で中東の制覇をもくろみ、石油の
密輸で依然として闇の財源が潤沢であるのに対し、北朝鮮は絶望的なまでに疲
弊し、核はとにもかくにも金正日体制の存続を図るがゆえにであるという点。

 北朝鮮が北東アジアの覇権を握るような事態は、万が一にもあり得ないとい
う確信がブッシュ米政権にはあるようだ。また朝鮮半島情勢に死活的な利害関
係を有する日本、韓国、ロシア、中国に北朝鮮は囲まれているという地政学上
の理由もある。

 イラクは過去そうであったように、他のアラブ諸国の民衆を扇動し自国に有
利に活用する可能性が大いにあるが、北朝鮮にそのようなものは存在しない。
よってイラクを叩くことは軍事的リスクが北朝鮮よりも少ないし、周辺国に及
ぼす影響も、北朝鮮のそれに対して総体的に少ない。。。

 当面、このイラクは攻撃、北朝鮮は封じ込めというドクトリンは続く公算が
大きい。(了)

石川純一(文責)           (2003/01/22)

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