Subject: EEE会議(Re:「もんじゅ」判決について)
Date: Fri, 31 Jan 2003 19:29:43 +0900
From: "金子 熊夫" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

「もんじゅ」判決については、技術的な問題点は小生の専門外なので論評の限りでは
ありませんが、法律論として問題としなければならない点が、少なくとも1つあるの
ではないかと考えます。

すなわち、一般に司法裁判所が、行政処分についてこれを無効とできるのは、当該処
分に「重大かつ明白な」違法事由がある場合に限られるというのが通説であるとされ
ています。 「明白な」とは英米法でいう"clear and present (danger)"と同じ概念
で、違法性の有無を判断する基本的要件とされています。

しかるに今回の判決では、「原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性
の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解すべきである」との判断を示してお
り、この点が一番問題だと思います。 確かに原子炉の事故は一旦起これば重大な結
果を齎しますが、だからといって、設置許可処分に明白な違法事由が認められなくて
もこれを無効とすることができると言うことになると、今後原子炉設置に関するあら
ゆる許可処分が訴訟の対象になる惧れがあり、大変なことになりかねません。

その意味で今回の名古屋高裁金沢支部の判決にこそ重大かつ明白なミスがあると思い
ますが、この点をクリアにするためにも、最高裁への上告は必要不可欠と考えます。
 以上は、昔大学や役所で法律をかじった者のとりあえずの所感ですが、皆様はどう
お考えでしょうか?

金子熊夫