Subject: EEE会議(Re:[もんじゅ」判決と日本のプル利用)
Date: Wed, 5 Feb 2003 14:28:06 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位



標記テーマに関連して、次のメールを、澤井 定氏(エネルギー問題に発言する会:
元原研、元動燃)から頂きました。「もんじゅ」問題の理解に資すると思いますの
で、ご紹介します。とくに国際的協力体制の中でプルトニウム利用を進めてゆくとい
う視点は、もっと積極的に一般市民にもPRすべきではないかと感じます。

金子熊夫

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柴山哲男氏の「もんじゅ」訴訟判決に対する御意見で、プルサーマルに関連して、
「ふげん」と「常陽」のPu利用実績に良い評価を下され、また両者のPR不足と「ふげ
ん」の運転停止を惜しむことが記されていました。両者に関係した者として、御意見
に感謝致しますとともに、少し所感を述べさせて頂きます。



(1) 日本におけるPu利用実績

  日本におけるMOX燃料の開発は、プルサーマル用の開発から始まりました。

  産・官・学の御支援を受けて、〜25年間に亘り、「ふげん」はMOX燃料集合体を
約800体、「常陽」は約500体、燃料破損を経験することなく、利用してきました。現
在、「常陽」は照射性能をアップさせた"MK-III”炉心に改造中で、今夏に運転を再
開し、高速増殖炉の開発に寄与する予定です。また、プルサーマルの少数体実証試験
は、美浜1号機と敦賀1号機で実施されました。



(2) 初期における原子力開発先進国の技術支援

  この良好なMOX燃料の利用実績は、1960年代の末期から1970年代の前半に、原子
力開発先進国が日本にMOX燃料の開発と製造に関する技術情報を開示し、稼動間もな
い第一プルトニウム燃料開発室が製造したMOX燃料を、リスクを受け入れ、自国の原
子炉で照射試験を引き受けた御蔭が大きいと考えています。さらに、「ふげん」の燃
料集合体の先行実証試験は英国のSGHWRで、「常陽」の燃料集合体の先行実証試験は
佛国のRapusodieで行われたことに対し、改めて深く感謝するとともに国際協力のあ
り方に感心しています。



(3) 国際協力の精神と「もんじゅ」の世界への寄与

  日本における初期のPu利用技術開発に対する原子力開発先進国の支援を考え、世
界に寄与する使命をもつ「もんじゅ」プロジェクトは、キリスト教の"Golden Rule"
の精神で、国際協力と世界への寄与をなすべきものと強く思っております。

  「もんじゅ」訴訟の判決により、「もんじゅ」の運転再開はさらに延びることに
なりました。少し先のことですが、運転再開には、プロジェクトの意義・計画内容・
期待される成果などが世界に一段と高く評価されることが非常に重要になると思われ
ます。国際協力をさらに進めたプロジェクトの国際化は、一つの方策かと思われま
す。



(4) Pu利用の開発と利用実績のPR

  日本におけるPu利用の開発と実績は、関係者の努力不足の点もあり、必ずしも良
い評価が得られず、PR不足の感も与える結果になってしまったかと反省しています。

  最近、核燃料サイクル開発機構は、

   「MOX利用国際セミナー」

   「サイクル機構シンポジウム」

   「敦賀国際エネルギーフォーラム」

の開催など、Pu利用の開発と実績のPRに力を注いでいます。

  私のことで恐縮ですが、日本におけるPu利用の開発と実績は、昨年、日本原子力
学会秋の大会合同企画セッション「シニアと若手が時代を超えて率直に議論、将来の
エネルギーへのパーセプション21」において、キーノートスピーチ「理解され信用
され受け入れられるPu利用への道」の中で、私見を入れて述べました。口頭発表文と
使用したOHPは、日本原子力学会再処理・リサイクル部会のホームページ
(http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/division/recycle/index.html)、および「エネル
ギー問題に発言する会」のホームページ(http://www.energy-sqr.com)の私の意見欄
に掲載されました。その中で、「Pu利用の開発と実績」に関係した項を抜粋して、下
記に記します。(省略)





澤井 定(エネルギー問題に発言する会;元日本原子力研究所、元動力炉・核燃料開
発事業団)