Subject: EEE会議(原発の稼働率の国際比較)
Date: Fri, 7 Feb 2003 15:44:10 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

日本の原子力発電は、数年前までは常に世界のトップクラスの運転実績を誇っていま
したが、最近は色々な事情で、あまり成績がよくないようです。安全性を確保しつつ
如何にして効率的運転を図るかは、今後電力自由化の流れの中で益々重要になってく
ると思います。 
この観点から、「エネルギー問題に発言する会」では、先月、会員の水町渉氏を講師
にして討論会を行いましたが、その議事録の一部を、同会のご了承を得て、以下のと
おりご披露します。詳しくは同会のホームページ(http://www.engy-sqr.com)を参照
してください。
金子熊夫

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1. 講演会の趣旨:

  日本は近年改良・標準化プログラムの中で様々な改善を行い、世界に冠たる成果
を上げてきたと自認していた。しかしここ数年の実績は設備利用率、放射線被曝量と
もに世界の中では低迷を続けていることがはっきりしてきた。この現実を見極め、他
国、とりわけ飛躍の著しいアメリカの実態を勉強し、今後の日本のあり方を探る。

2.講演の主題: 「日本の失われた10年とアメリカ他の飛躍」

3.講演の概要(一部抜粋)

1)世界主要原子力発電国の設備利用率の推移(1992年―2001年)

フィンランド、韓国、スペインが85−92%で世界トップ3。日本は1992年か
ら1998年にかけては75%から84%と着実に改善をしてきたが、1999年以
降、約80%に低迷している。米国は1992年には70%と最低クラスであった
が、その後着実な改善を続け、2001年には92%に達し、世界トップクラスに飛
躍。

2)2001年度、世界原子力発電国の設備利用率

1位オランダの94%を筆頭にフィンランド、スペイン、韓国、アメリカ、スイスが
90%以上。ついでベルギー、チェコ、ルーマニア、ドイツ、中国、ハンガリー、台
湾、が85%以上。ついでスロベニア、スウェーデン、ブラジル、日本、インド、ア
ルゼンチンが80%以上。最後がフランスの74%となっている。フランスは原子力
発電電力を周辺国に輸出しており、相手先の需要に応じて供給しているために、負荷
運転を実施しており、設備利用律が低迷しているという特殊事情がある。フランスを
除けば、日本は蒸気発生器やシュラウドの取替え等の大工事のためもあり世界17位
で最低レベルである。

3)世界トップクラス90%台に乗せるには、運転期間で18ケ月以上、定検期間で
60日以下を達成する必要がある。日本の現実は運転期間は現規制下ではほぼ14ケ
月が最長であり、定検期間も現在の検査項目数ではこれ以上の大幅な短縮は困難であ
る。

<以下省略>