Subject: EEE会議(Re: 核査察は機能不全! IAEAの苦悩)
Date: Fri, 14 Feb 2003 09:15:33 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

イラク、北朝鮮問題がまさに同時多発的に火を噴いており、国連安保理事会も国際原
子力機関(IAEA)も対応に苦慮しております。とくにIAEAは核査察の総元締
めでありながら、なかなか有効な対応ができず、このままでは鼎の軽重を問われま
す。 たまたま今朝拙宅に舞い込んできたメルマガに、この点をずばり指摘した小文
が載っていましたので、ご参考までに。 

国際核査察(保障措置)は、重要であるにもかかわらず、技術的な性格が強いために
その実態は一般には十分理解されておりません。 実は、小生も昨日、東京・未来科
学館で開かれた核燃料サイクル開発機構(JNC)主催の「原子力平和利用国際
フォーラム」でIAEA事務次長(保障措置担当)とこの点を議論してきたばかりで
す。
金子熊夫

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◆IAEAの苦悩◆

 国際原子力機関(IAEA)。1957年に設立された同機関は元々、原子
力エネルギーの未来にバラ色の夢を描き、その平和利用の推進を根本理念に掲
げて発足した。いわば鉄腕アトム的な時代の産物である。

 そのIAEAが、北朝鮮の核開発問題を国連安保理に付託。制裁発動の可能
性をちらつかせながら、北朝鮮にIAEA保障措置(核査察)協定履行を促す
最後の手段に出た。強制査察権を与えられていないIAEAの構造上の欠陥を
浮き彫りにするものだ。

 イラクに対する査察についてもこれは言える。IAEAは保障措置に基づき
長年査察を続けてはいた。しかし、イラク側の申告施設しか検証できないとい
う制約から、91年の湾岸戦争後まで秘密ウラン濃縮施設を発見できなかった


 核分野に精通した約250人の査察官を擁しながら、対象国の承認がなけれ
ば査察を実行できない足かせがあるためで、IAEA内部からは「容疑者本人
からの令状発給を待って家宅捜査するようなもの」との声すら上がっている。

 今回の安保理付託は、北朝鮮の核開発問題に有効手段を打ち出し得ないIA
EAの苦悩の裏返しとも言える。(了)


    石川純一(文責) (2003/02/14)
http://www.wadonet.com/news/news.html