Subject: EEE会議(Re: IAEAの核査察のあり方)
Date: Mon, 17 Feb 2003 19:32:59 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

IAEAによる国際核査察の問題点について、豊田正敏氏からも傾聴すべきコメント
をいただきました。とくに、IAEAの模範生を自認する日本との関係については、
いろいろ問題が多いと思われるので、この際徹底的に議論してみるのも有意義でしょ
う。 建設的かつ大胆な提言、提案を歓迎します。

金子熊夫
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国際核査察のあり方については、原点に返って考えてみるべきであると考えます。
 
先ず、イラクや北朝鮮のような核兵器を持とうとしている国は、自ら、その原子力施
設を申告するわけがなく、これを察知するには、米国始め各国が積極的に情報を提供
する必要があると考えます。
これに基づき、IAEAは査察を通告し、もし、これに応じないとか、妨害する場合に
は、直ちに国連安保理に提訴し、強制的な査察を行うべきでありそのしくみを確立し
ておくべきと考えます。

次に、米国の一極支配になるという懸念は、IAEA自身が米国の言いなりになっている
態度にあると考えます。例えば、核兵器を持つ意思がないことがはっきりしている日
本に対して、六ヶ所再処理工場のMUF(計測誤差を含む行方不明量)を米国の言いなり
になって、再処理工場の稼動率にもかなりの影響を及ぼすような非現実的な低い値に
設定しようとしているのは問題であります。米国だけでなく、各国から情報や意見を
聞くとともに、IAEAの情報も各国へ平等に提供することにより、米国の一極支配を避
けなければ、国際社会の同意は得られないと考えます。

もう一つの問題点は、かりに以上のことが実現できたとしても、IAEAの現在の人員、
予算では、世界の全原子力施設の十分な査察を不可能と考えます。しかし、これを2
倍以上に増やすことは、分担する各国の同意を得ることは出来ないと考えます。従っ
て、我が国のような核兵器を所有する意思のない国に対しては、査察を簡略にし、黒
または、灰色の国の原子力施設を重点的に査察するように変更すべきであると考えま
す。

要するに、吉田氏の言っているように、IAEAの核査察が強制的査察権がなく実効性が
上がらないものであり、我が国のような核兵器を所有する意思がなく、しかも、真面
目にIAEAの査察を受け入れている国に対してだけ厳しい査察を行うようなものであれ
ば止めるべきであると考えます。また、核兵器保有国のみが既得権益を認められてい
る不平等国際社会をどうするかといった問題も議論すべきであると考えます。以上