Subject: EEE会議(IAEA核査察と日本核武装論)
Date: Thu, 20 Feb 2003 22:33:45 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

北朝鮮核問題をきっかけに国際原子力機関(IAEA)核査察の有効性、日本核武装
の是非(可否)等々一連の重要論点をめぐって活発な論議が続いておりますところ、
豊田正敏氏からさらに次のようなコメントが寄せられました。ご参考まで。 一層多
くの方々の発言を歓迎します。
金子熊夫
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現在のところ核兵器を持つ意思のない我が国が核兵器を持つ可能性があるかどうかの
仮定の議論することは無
意味と考えるが、河田氏の2月17日の反論に対して先のコメントに簡単なコメントを
付け加えたい。
議論がすれ違いになっているのは、私は日本が仮に国家レベルで核兵器を持つと決め
た場合を前提としている
のに対し、河田氏は日本が法治国家であるとの前提によっている点であると思う。
問題の一つの重要点である使用済燃料の燃焼度のモニターは査察官がいない隙に記録
の改ざんを行うことはそ
れほど難しいことではない。次に、河田氏は、「低燃焼度の燃料ははじかれて受け入
れないことになってい
る」と言っているが、これは誤りであって、破損燃料のように低燃焼度の使用済燃料
も受け入れ、臨界防止の
ため別のプールに保管することにしている。私の提示している劣化ウランまたは、天
然ウランの低燃焼度燃料
は、臨界の問題がないため普通プールに貯蔵することが出来、目立つことはない。
また、査察官の立会いによって不正の確認が出来るといっているが、査察官が常駐
し、24時間監視するのでな
ければ、気付かずに不正を行うことは不可能とはいえないことは北朝鮮の例で証明済
みであると考える。
もう一つの問題点は、査察官が気付いても、これに対する弁明に対してそれ以上追究
する強制力がないことで
ある。
要するに、IAEAの保障措置に基づく査察体制が、所期の目的である核拡散防止に対し
て実効性がないことが問
題なのである。即ち、北朝鮮が言っているように、査察官が一つの施設から別の施設
に移る際、それを確認し
て、数名の運転員が待機し、隠したりごまかしたりして査察官が気付かないように出
来る。また、査察官は保
障措置の専門家ではあるが、プラントの設計やレイアウトなどを熟知していない点も
問題である。さらに、査
察官が不正に気付いて、それを指摘してもそれに対する弁明を聞くだけで、警察官で
はなく、捜査権がないの
で相手が応じなければ、追究する強制力がない。従って、核兵器を持とうとしている
国家に対しては、なんら
実効性がない。此の点を如何に改善するかが課題である。
なお、河田氏は、日本が核兵器を持つ可能性はないと断言しておられる。日本は唯一
の原爆被害国であり、国
民感情からも今直ちに核兵器を持つ可能性は皆無と考える。然しながら、北朝鮮との
間で拉致被害者は一旦北
朝鮮に帰すと約束していたにも拘わらず、圧倒的与論に押されて、日本に止めること
になったが、一旦北朝鮮
に帰すべきであるという意見が殆ど聞かれない。このような付和雷同的国民性では中
国や北朝鮮との間で屈辱
的外交が続き、また、テポドンが日本に打ち込まれるように事態になった場合、マス
コミに作られた与論に
よって核兵器を持つ方向に進むことが懸念される。しかも、有力議員の中には、外交
カードとして将来核兵器
を持たざるを得ないと考えている人も何人かいることは否定できない。このような懸
念は私一人の思い過ごし
でしょうか。
豊田正敏
toyota@pine.zero.ad.jp