Subject: EEE会議(朝日新聞記事:「揺らぐ原子力の優位性」について)
Date: Fri, 21 Feb 2003 17:17:33 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

今朝(2月21日)の朝日新聞朝刊の特集記事「揺らぐ原子力の優位性」に関し、林
 勉氏(エネルギー問題に発言する会幹事)より次のコメントが寄せられました。こ
こで提起されている一連の問題点について、是非多くの方々の活発なご議論を期待し
ます。
金子熊夫
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 2月21日朝日朝刊に「見直し迫られるエネルギー政策――揺らぐ原子力の優位
性」というタイトルで記者の署名入り記事が掲載された。「原子力は現在電源別発電
量で一番大きい割合を占めているが、東電問題やもんじゅ訴訟判決問題でその安定供
給に疑問符がついた。しかし、それに替わる代替の電源は不在であり、当面原子力に
依存せざるをえず、徐々に代替電源を増やしていく現実路線しかなさそうだ。」とい
う結論でしめくくっている。筆者もこの考えにほぼ同調するものであるが、残念なが
ら朝日のこの論説では、ここで議論がストップしている。「当面原子力に依存し」と
いう一言ですまして良いものだろうか?
 
 残念ながら現実は東電問題をきっかけとして、マスコミや社会一般も原子力業界全
体にたいする批判に熱中し、そうすることが正義であるかのような勢いである。しか
しその結果何が得られているのであろうか?東電を始め、業界はひたすら低姿勢であ
り、規制当局は監視強化(規制強化)の方向に走っている。立地地元も様々な要求で
電力や規制当局に迫っている。このような状況では、信頼性があり経済性もある原子
力発電の安定供給はおぼつかない。

 当面原子力に依存しなければならないという現実を認識するのであれば、原子力へ
の依存のありかたをもっともっと議論し、そのためには何をしなければならないかに
ついて、議論と認識を深めなければならないと思う。是非この点につきメデイアの
方々も真剣に取り組んでもらいたいものだ。やらなければならないことの私見を以下
に示す。

・ わが国のエネルギーにおける原子力の役割の正しい認識の普及。
・ 原子力の信頼性向上に何が必要か?
・ 信頼性向上と経済性向上の両立をどのように図るか?
・ 規制強化と経済性向上にはどのような問題があるか?
・ 諸外国における規制とわが国の規制にどのような差異があるか?学ぶべきことは
学ぶ姿勢が必要
・ 原子力の将来をどう考えていくべきか?

私達「エネルギー問題に発言する会」ではこれらの問題について真剣に取り組もうと
している。メデイアの方々も是非国民の総合利益という観点から、このような議論に
注目し、正しい報道に注力していただきたいと思う。

林 勉
エネルギー問題に発言する会