Subject: EEE会議(イラク、北朝鮮問題に関する緊急提言)
Date: Mon, 24 Feb 2003 08:57:01 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位

イラク、北朝鮮問題が重大な局面に突入しつつある中で、米英両国が対
イラク武力行使に踏み切った場合に日本がいかに対応すべきかについて、明確な態度
決定を迫られております。かかる状況に鑑み、今般、財団法人日本国際フォーム(会
長:今井敬日本経団連名誉会長)は、「イラク問題について米国の立場と行動を支持
する」と題する緊急提言を採択し、下記39名の有志会員の連名により2月20日付
けで新聞発表しました。ご参考までに同緊急提言の全文をご披露いたします。コメン
トのある方はどうぞ。

金子熊夫

   


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日本国際フォーラム緊急提言委員会有志アピール




 【イラク危機と北朝鮮危機は連動している】米国によるイラク攻撃の
時期が切迫する一方で、北朝鮮の核武装化の動きがエスカレートしています。われわ
れは今こそ何が日本の国益であり、何が国際社会の進むべき道であるかについて熟慮
しなければなりません。われわれは、イラク問題について米国の立場と行動を支持
し、北朝鮮問題での日米連携の強化を主張します。この二つの危機は連動しており、
われわれが北朝鮮危機を解決することができるかどうかは、われわれのイラク危機へ
の対応いかんにかかっています。

 【「ならず者国家」の大量破壊兵器保有は許容できない】われわれが
最初に明らかにしたいことは、いわゆる「ならず者国家」による大量破壊兵器の開発
や配備は許容することができないという基本的立場であります。九・一一テロによっ
て国際テロリストの脅威が明らかにされました。大量破壊兵器がかれらの手に渡った
場合の脅威には計り知れないものがあります。国際社会は、平和的措置によって脅威
を取り除くことができない場合には、最後の手段として武力を行使せざるを得ませ
ん。ただ「反戦平和」だけを叫んだり、「イラクも悪いが、さりとて米国の軍事力行
使も悪い」といった他人事のような発言は、自らの立脚点を放棄し、警棒と凶器の区
別をしない誤りを犯すものです。イラクは湾岸戦争停戦の国連安保理決議六八七の下
での大量破壊兵器の査察を一九九八年に拒否しました。昨年十一月に採択された決議
一四四一は、イラクに義務遵守の「最後の機会」を与えましたが、その挙証責任はイ
ラク側にあります。しかるに、これまでのところでは、イラクが義務遵守を証明した
とはとてもいえません。

 【米国支持の旗幟を鮮明にせよ】次は、日米同盟への揺らぐことのな
い信頼の堅持であります。ソ連の崩壊と中東欧諸国のNATO(北大西洋条約機構)
加盟により、ドイツ、フランスにとって東方からの脅威はほぼ消滅しました。両国は
その分だけ、行動の自由を拡大したといえるでしょう。これとは対照的に、北東アジ
アでは北朝鮮の核武装志向が地域の緊張感を高めています。かりに国際社会がイラク
の武装解除に失敗すれば、北朝鮮はその核開発計画をさらにエスカレートさせること
でしょう。朝鮮半島における核保有国の出現が、日本の安全を脅かし、外交を掣肘す
ることは必至です。一部に、ドイツやフランスのように日本も米国から距離を取るこ
とによって、外交の「自主性」を発揮せよとの主張がありますが、ドイツやフランス
の置かれている立場と日本のそれとの間には大きな懸隔があります。いま日米同盟は
試練の秋を迎えています。日本はこのような時にこそ、自主的な判断によって米国支
持の旗幟を鮮明にすべきです。イラクと北朝鮮という二つの難問の解決に当たらなけ
ればならない米国に対して「イラクへの武力行使には反対するが、北朝鮮の危機には
断固として対処してほしい」などと日本が要求するのは、道理にも正義にも反してい
るといわなければなりません。

 世界情勢の重大な危機の中で、左記に署名するわれわれ日本国際
フォーラム緊急提言委員会有志39名は、その所信を明らかにして国民各位に訴える
次第であります。

二〇〇三年二月二十日

緊急提言委員会委員長

田久保忠衛
杏林大学教授

委 員

愛知 和男
日本経済研究会理事長
秋山 昌廣
シップ・アンド・オーシャン財団会長

石井公一郎
元ブリヂストンサイクル会長
市川伊三夫
慶應義塾財務顧問

伊藤 憲一
日本国際フォーラム理事長
猪口  孝
東京大学教授

今井  敬
日本国際フォーラム会長
今井 隆吉
世界平和研究所理事

鵜野 公郎
慶應義塾大学教授
江畑 謙介
軍事評論家

岡崎 久彦
岡崎研究所長
小笠原敏晶
ジャパンタイムズ会長

小此木政夫
慶應義塾大学教授
小山内高行
外交評論家

柿澤 弘治
衆議院議員
金森 久雄
日本経済研究センター顧問

金子 熊夫
日本国際フォーラム理事
北岡 伸一
東京大学教授

木村 崇之
前EU代表部大使
黒田  眞
安全保障貿易情報センター理事長

小池百合子
衆議院議員
斎藤  彰
読売新聞社編集局総務

佐々 淳行 初代内閣安全保障室長
澤  英武 評論家
志方 俊之 帝京大学教授 島田 晴雄 慶應義塾大学教授
神保  謙
日本国際問題研究所研究員
永野 茂門
日本戦略研究フォーラム理事長

中西 輝政
京都大学教授
那須  翔
東京電力顧問

奈須田 敬
並木書房会長
西尾 幹二
電気通信大学名誉教授

袴田 茂樹
青山学院大学教授
服部 靖夫
セイコーエプソン副会長

村田 良平
日本財団特別顧問
森本  敏
拓殖大学教授

屋山 太郎
政治評論家
吉田 春樹
吉田経済産業ラボ代表取締役