Subject: EEE会議(Re:イラク問題に関する緊急提言: 「対米追随」か?)
Date: Sat, 1 Mar 2003 00:27:08 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

標記テーマに関する小生のコメントに対する吉田康彦氏のコメントと、小生の再反論
です。ご参考まで。
金子熊夫
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対米追随ではなく、国益追求だとおっしゃるが、これは二律背反ではなく、両立しま
す。どの国も外交は国益追求の手段です。「国益追求」と信じて推進している日本外
交が対米追随でしかないという点に問題があるのです。これは日本の一部のメディア
や有識者が自虐的に言っているのではなく、外部の第三者のおおむねの評価です。

実例をあげましょう。古くはキッシンジャーの電撃的訪中にあわてて日本も追随した
日中国交正常化。冷戦期間中は、核軍縮推進、人権関連の国連決議案に、米国ととも
にほとんどに反対投票。投票行動はほぼ完全に一致。(詳細は河辺一郎『国連と日
本』岩波新書参照) 最近では、対人地雷全廃条約採択の際、日本政府は当初NGO主
導、カナダ提出の条約案に反対。理由は「米国が反対しているから」。その後、米国
が突如、舞台ウラの折衝で賛成に回ったのを知らない日本代表団は本省の訓令どおり
本会議で反対演説をぶち、失笑を買う。最後は日本も賛成に回ってチョン。小生、国
連勤務の10年間にこんな場面をいやというほど見ています。

日米安保見直し、新ガイドライン策定、周辺事態法、テロ特措法・・・・冷戦終結後
の一連の日米同盟強化の動きがすべて「国益」に沿っているかどうかは議論の分かれ
るところです。国益(national interests)というのは、自民党あるいは連立与党が
考える「国家の利益」ではなく、広く「国民の利益」であるべきことは、主権在民の
憲法の理念から明白。最近の世論調査では、日米安保の支持率・不支持率は、いずれ
も30%台で、伯仲しています。小泉内閣の支持率も、最近はジリ貧傾向で、各社の
調査でいずれも50%台を切っています。以上ご一考下さい。

吉田康彦
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<上記コメントに対するコメント>

戦後の日本外交全体が「対米追随」かどうか等というような議論を今当EEE会議の
場で繰り返す余裕はないので、これ以上貴コメントに対し反論するのは止めますが、
もし「今回の緊急提言が石油資源確保という国益の観点から見てプラスかマイナス
か」
という論点に絞って議論するのであれば、それなりに意味があると考えますので、
いま少しお相手をするのに吝かではありません。

金子熊夫