Subject: EEE会議(Re: 「もんじゅ」判決について)
Date: Mon, 10 Mar 2003 00:02:34 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

「もんじゅ」判決に関し、天野牧男氏(エネルギー問題に発言する会)からも、次の
ような傾聴すべきコメントをいただきました。ご参考まで。
金子熊夫
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 私もこの日本原子力学会主催の緊急討論会(3月5日)を聞きましたが、この裁判
についての討論を聴いた全体的印象として、敗訴した原因は、技術問題ではなく、控
訴側の並々でない熱意と、被控訴側である役所側の対応に問題があった事によるよう
な感じを受けました。
 今度の裁判では、ラウンドテーブルという事前協議の場があって、裁判官も質問も
出来、それに双方が見解を表明する新しい方式がとられ、それが14回、毎回午後一
杯を使っておこなわれたとのことです。実質的には此処での論議が裁判官の公判記録
のベースになったようですが、久米三四郎氏は二回でも三回でも裁判官が分らなけれ
ば、あの風貌でとっとつと噛んで含めるように、心を込めた説明をしたのに対し、官
側はパネラーの一人が言っておられましたが、「木で鼻を括った様な説明で終始し
た」というのでは、勝敗は明らかになったように思いました。
官側からの報告の中で「Naと水との反応についての話があったとき、コンクリート
には鉄板が張ってあって、それがNaとコンクリートとの接触を阻んでいるのだか
ら、Naとコンクリートとの反応の話は一切しなかった」とありました。理論的には
全くその通りでしょうが、この新しい裁判の方式では適切ではないように思われま
す。

久米氏からはもんじゅ用の安全基準が、非常にいい加減だったし、官側からの意見書
が出されないこともあった。これでは勝てませんよとやられていました。そういった
ことで裁判官の心象も披控訴人から離れてしまっていたようです。こういったことの
ため技術的には全く誤った内容の判断が、裁判官の判決文に織り込まれてしまったよ
うにみえました。これ等は久米氏の話ですし、日本の優秀な官僚がこういった態度で
終始されたとは思えないのですが、どうもあながちいい加減な話でもないようでし
た。                 
 ただ技術関係の点ではパネラーの話を聞きましても、全く判決内容は正確ではな
く、適切に対応すれば、もんじゅの安全審査の妥当性は立証出来るようです。これか
ら最高裁があるわけですが、ここでは是非技術的な正しさがしっかり理解され、正当
な判決が得られるよう関係者の真剣な努力を是非お願いしたいと感じたものでした。

なおこの討論会で、久米三四郎氏は「軽水炉ではもう勝てない」と言っていました。
安全基準も整備されていて、対抗出来なくなっているとのことでした。
 なおこの討議の続きは、今度の原子力学会の年次総会でも取り上げたいとのことで
した。
 
<天野牧男>