Subject: EEE会議(Re: 「もんじゅ」判決について)
Date: Mon, 10 Mar 2003 00:18:39 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

「もんじゅ」判決については、日本原子力学会主催の緊急検討会(3月5日)での議
論をきっかけに、大勢の方々からコメントが寄せられております。 次に柴山哲男氏
(エネルギー問題に発言する会、元三菱原子力)のコメントをご紹介します。
金子熊夫
*****************************************************


もんじゅ判決については、何故原告側の一方的な主張のみが取り上げられたのか疑
問もありましたが、最近の原子力学会等の報告によれば、被告側の裁判対応などにつ
いても問題があったのではないかと考えざるを得ません。

 もんじゅは被告側が上告しましたので、最高裁で(上手く行けば、多分)差し戻し
になり、高裁、多分再度最高裁まで行くのではないかと思いますが、時間がかかるこ
と、上告審では法解釈の問題が主流となり、二審で問題にされたプラント安全の技術
上の問題に判決の上から深く反論乃至触れられる機会は少ないと思います。従って現
段階及び将来に亘って今回の判決が(法適用の問題は別として)公式のものとしては
最終判断として残ってしまう可能性があります。判決後部分的には判決に対する批
判、疑問は沢山出されていますが、判決の技術的問題に対して正面から安全性を主張
したものはあまりないように思います。判決に対する反論ではなく、判決で指摘され
た問題に対して実際はこうなっており、安全上は問題はないということをもっときち
んとした形で表明することが必要ではないでしょうか。少なくとも、当事者である原
子力安全委員会、原子力安全保安院、核燃料サイクル開発機構にはその責務があると
思いますが如何でしょうか。

 今回の問題に限りませんが、最近このような問題(外交、経済政策なども含めて)
に関する十分な説明が全般的に少ないように思います。単に地元関係者に説明するだ
けでなく、技術的にも十分評価に耐える説明が必要であると思います。 
 ついでですが、核燃料サイクルの破綻とか報道されていますが、核燃料サイクルに
ついても必要性が十分に説明されているとは思えません。プルサーマル、もんじゅな
どの問題が発生する度に「いささかも揺るぎがない」との説明はありますが、このよ
うな状況でも何故核燃料サイクルが必要かとの説明はあまり聞こえて来ません。以前
の方針通りで変更がないから説明する必要がないということではなく、何回でも繰り
返し説明することが必要だと思います。また、説明というと一般向けの平易な説明に
なりがちですが専門家の批判にも耐えうるような説明も必要です。

 現在立地地点の状況も非常に厳しくなっています。福島、新潟県もありますが、も
んじゅ及びプルサーマルを抱えた福井県の知事選挙も予断を許さない状況にあり、再
処理を抱える青森県知事も辞職勧告決議案が可決される等自身の問題を抱え今後の状
況は見通しが立て難い状態にあります。今ここできちんとしたメッセージを発信して
おかないと、核燃料サイクルのみならず、原子力全般、更には日本のエネルギー、環
境問題に決定的なダメージを受けるような気もします。国策が地元首長によって影響
を受けるのは問題ですが、それも国民の支持があって言えることで、説明不足で国民
の支持を完全に失ってからでは遅すぎることになりかねません。  
 勝手なことを書きましたが、是非皆様の御批判を頂きたいと思います。

柴山 哲男
tetuo shibayama
shibayama@mvh.biglobe.ne.jp