Subject: EEE会議(イラク問題と石油利権)
Date: Mon, 17 Mar 2003 10:05:10 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

イラク攻撃問題が依然紛糾していますが、その背景に石油利権が絡んでいることは周
知の事実です。その辺の事情を知るために以下をどうぞ。発信者は、時どき当会議で
ご紹介している、石川純一というフリーの国際ジャーナリスト(中東地域専門)で
す。ご参考まで。
金子熊夫
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◆ああ。。。魑魅魍魎◆
                            (2003/03/17)

 米英による対イラク戦の準備が着々と進む真っ最中の2003年1月16日
、ロシア・エネルギー省のマトラショフ次官を団長とする同国代表団は、バグ
ダッドでハディーシ石油省次官を団長とするイラク側代表団と、イラクにおけ
るロシア企業の油田開発投資、石油部品の輸出等について協議。イラク西クル
ナにおける新規事業契約3件を獲得。

 フランスは主に確認埋蔵量100億―300億バレルと推測されるマジュヌ
ーン地区で事業契約を推進。ちなみに西クルナの確認埋蔵量は180億バレル
前後。この間隙をぬって、中国やマレーシアもイラクの石油開発契約獲得に奔
走中だ。

 1995年4月14日、国連安保理において、第1次湾岸戦争に伴う経済制
裁を一部解除し、人道目的の食料輸入目的に限ってイラク産石油の輸出を認め
る安保理決議986号が採択。「食料と石油プログラム」がそれである。狡猾
なフセイン・イラク政権が取った戦術は一つ。石油を売却する相手を巧妙に選
択するというものだ。

 当然、ロシア、フランスの石油企業が真っ先に選ばれる。イラクの石油はガ
ソリンなどに精製がしやすい軽質油。決議986号は、石油価格を市場価格よ
りも低く設定してあるが、第3国軽油となると値段は当然高くなる。が、少々
高くても、質がいいため世界中から引き合いがくる。そしてその最大の顧客が
米国だ。ロシアの場合、その6割が米国向けに輸出されているとされる。

 こうした米国の第3国を経由したイラク石油の輸入は、対イラク戦が秒読み
段階に入っても一向に減る気配を見せず、今年1月の輸入量は前月比24%増
の日量平均115万バレル。石油業界の関係者らによると、米国の原油輸入全
体に占める割合は、約13%となっている。

 さらに決議986号に基づくプログラムでは、国連が仲立ちとなることでイ
ラクに直接キャッシュが入ることは理論上ないが、イラクは、利権獲得をえさ
に買い取り価格+数%の上乗せ金を設定。この上乗せ金をキャッシュとして受
け取り、軍備に振り向けていると伝えられる。

 安保理で仏ロがかくも執拗に開戦に反対している理由、米国がイラクの石油
で対イラク戦の準備を進めている実態。。。

 イラクは世界でも油田開発の余地が最も多く残された国。それだけに、対イ
ラク戦が秒読み段階に入った今、同国を含む湾岸には魑魅魍魎が徘徊している
としか言いようがない。


石川純一(文責)

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