Subject: EEE会議(イラク戦争に関するPPJ声明)
Date: Thu, 27 Mar 2003 11:33:17 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

イラク戦争に関し、鈴木達治郎氏(電力中央研究所経済社会研究所上席研究員、
PPJ代表)から次のようなメールをいただきました。ご参考まで。
金子熊夫 
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皆様
イラク戦争は、既に多くの被害を出し、長期化が懸念されています。PPJスタッフは

同として以下のような緊急声明を発表いたしましたのでご報告いたします。なお、同
文がホームページにも掲載されております。

鈴木達治郎 拝
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ピースプレッジ・ジャパン イラク戦争開始について緊急声明
2003年3月25日

1. 2003年3月19日(米国時間)、米国ブッシュ政権は「イラクの武装解除

政権打倒」を目的にイラクに対し宣戦布告を行い、空爆を直ちに開始しました。国連
安全保障理事会決議1441のもとでの査察活動報告では、軍事行動の必要性を断定
する段階にはなかったと判断されます。さらに、国連安全保障理事会の軍事活動決議
のないままの「先制攻撃」は、国連憲章違反の疑いも否定できません。また、他国の
政権打倒を目的とした軍事活動も国際法では認められていません。

従って、国際法と国際秩序を尊重し、外交・対話による紛争解決を支持するPPJとし

は、今回の戦争が将来の国際平和維持に深刻な影響を与えるものとして、強く反対い
たします。また、平和憲法を持つ日本が、その精神に基づき、今回の戦争に対して
「不支持」を表明するよう要請いたします。さらに、戦争が始まってしまった今も、
できるだけ早期に軍事行動が終焉するよう、当事国および国際社会の努力を続けてい
くべきと考えます。

2. 今回の戦争では、大量破壊兵器を所有している米国に加え、イラクもその所有

び使用可能性を示唆している点が極めて深刻です。既に、イラクは化学兵器を自国民
に対しても用いた実績があり、今回も利用する可能性は否定できません。さらに、米
国は昨年公表された「核態勢見直し(Nuclear Posture Review)」や「国家安全保障
戦略」にて、「(核兵器による)先制攻撃」の可能性、そのための「新型小型核兵器
の開発」をこれまで以上に強く示唆しており、状況によっては米国が大量破壊兵器を
用いる可能性も否定できません。

非人道的な大量破壊兵器の開発・所有・利用に反対するPPJとしては、イラク・米国

対し、大量破壊兵器の使用を一切行わないよう強く要請し、できるだけ早期に大量破
壊兵器の削減を実現するよう要請します。

なお、核開発の状況から考えれば、現在すでに核不拡散条約(NPT)脱退を表明し、

開発の疑いがもたれている北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の方がより深刻である
と推定されています。国連および米国をはじめとする関連諸国は北朝鮮問題の解決に
向けて、早急に北朝鮮と交渉を開始することを要請します。

3. 戦争が始まったことにより、深刻な報復テロの可能性が心配されます。アルカ

ダは原子力施設に対するテロも目標に入れていたことが明らかになっており、民生用
原子力施設の警備が重要と考えます。特に、大量破壊兵器に利用可能な物質(核・生
物・化学)の防護や関連施設の警護がきわめて重要です。さらに、万が一の緊急対策
についても、早急に整備を行い、国民に対し説明を行うよう、日本政府に要請しま
す。

4. 戦争により、多くの死傷者や難民が発生することが予想されます。日本赤十字

ど、既に関連団体が支援活動を開始していますが、日本政府も直ちに支援活動につい
て具体的行動を開始するよう要請いたします。また、私たちも一人の世界市民とし
て、この人道支援活動を個人として援助していく決意をここに表明いたします。

5. 最後に、本戦争において、最先端の科学技術を用いた精密誘導兵器システムと

力な破壊力をもつ兵器が戦場で使用されています。科学技術がこのような目的に利用
されることは、決して望ましいことではありません。科学者平和誓約運動に参加して
いる私たちとしては、個人として、このような科学技術の開発・利用に強い懸念の意
を明らかにしたいと思います。

「ピースプレッジ・ジャパン」(「科学者平和誓約運動」) スタッフ一同

Tatsujiro Suzuki
Peace Pledge, Japan
http://www.peacepledge.gr.jp
email: ppj@egroups.co.jp