Subject: EEE会議(Re:米国の温暖化対策:CO2を出さない石炭火力発電所計画)
Date: Thu, 27 Mar 2003 12:41:15 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

米国政府の「FutureGen計画」について、早速横堀恵一氏から次のような
メールを
いただきました。ご参考まで。
金子熊夫
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素人ではありますが、私の知っていることは次のような点です。

今回の米国政府の発表したのは、炭酸ガスの地中や海中での貯留に関するもので、
FutureGen Project以前から、研究者や政府機関などで議論されています。FutureGen
の中心は、石炭を触媒として水素ガス(これを燃料電池などに使う)を生産し、その過
程でできた炭酸ガスは地中又は海中に貯留するというもので、炭酸ガスの固定化・貯
留は、後処理の問題と思います。

炭酸ガスの固定化・貯留は、ちょうど、硫黄酸化物を脱硫装置などで除去して処理す
るという燃焼の後処理に近い考えに基づくものと、私は思います。炭酸ガスの固定・
分離も技術としては、古くから研究されておりますが、火力発電所からの回収はまさ
に研究開発段階です。日本でも関西電力の南港発電所で実験されています。又、炭酸
ガスを地層などに埋め込むことは、石油・ガスの2次、3次回収技術としても利用され
ています。2〜3年前、、ノルウェーで、Statoilであったか、Norsk Hydroが化学工
場から回収した炭酸ガスを北海のガス田に入れて、ガス増産に利用した事例もありま
す。

炭酸ガスの地中又は海中貯留技術の研究については世界的に行れており、日本でも、
RITE((財)地球環境産業技術研究機構)などで行っておりますし、最近(2月19-21日の
総会で)、IPCCでは、この問題に関する特別報告をまとめることを決めた由です。

炭酸ガスの貯留については、当然、OPECや石炭産出国などでは、化石燃料利用の延長
という見地から関心があり、同じ理由で反対する環境保護団体もあるようです。他
方、環境重視型のエネルギー研究者にも、例えばPrinceton大学のBob Williamsのよ
うに、石炭を触媒として水素を作ること、さらにはその応用として、バイオマスのガ
ス化を考える(私は、文科系で、技術的な詳しい説明はできませんが)立場からは、受
け入れられています。IPCCの第2回評価報告書の際に、色々なシナリオが作られまし
たが、その一つは、炭酸ガスの貯蔵により、化石燃料の利用を継続する、というもの
だったと記憶しています。

以上のように、米国が炭酸ガス回収・貯蔵に関心があるのは、当然でしょう。しか
し、私は、将来のエネルギー需要の伸びを考えると、原子力も化石燃料も(又、新エ
ネルギーも)必要になるのではないか、と思うので、この炭酸ガス貯留技術の展開に
は、興味があります。

技術には素人なので、以上の記述の内の誤りを専門家の方が、直して頂ければ幸いで
す。

横堀 拝

-----Original Message-----
From: kkaneko [mailto:kkaneko@eagle.ocn.ne.jp]
Sent: Thursday, March 27, 2003 10:55 AM
To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp
Subject: EEE会議(Re:米国の温暖化対策:CO2を出さない石炭火力発電所計画)