Subject: EEE会議(Re:米国の温暖化対策:CO2を出さない石炭火力発電所計画)
Date: Thu, 27 Mar 2003 13:39:27 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

標記の件に関し、松井一秋氏(エネルギー総合工学研究所)からも、次のようなメー
ルをいただきました。ご参考まで。

なお、小生、本日から3日間、日本原子力学会春大会のため九州・」佐世保へ行って
きますので、その間EEE会議は一時休憩です。よろしく。
金子熊夫
*************************************************

米側の発表を詳しく見ていない私ですが、すなわち石炭のガス化と炭酸ガス(2酸化
炭素)の回収・処分です。
石炭のガス化技術は今も開発努力がいくぶんか払われているはずですが、基本的には
古くからある。酸素と水蒸気を1000度c以上の雰囲気の中に持ち込んで、水素、
1酸化炭素、2酸化炭素、灰分、多分他に硫化水素とか窒素とかややこしいものもい
くぶんかあるでしょうが、に変換します。1酸化炭素は水蒸気と触媒で水素と2酸化
炭素の転換できますので、すなわち石炭は水素と2酸化炭素と灰になる。灰は如何と
もしがたいですので、大部分は捨てる事になります。なんせ石炭中に1割、2割あり
ますから。今までは当然ですが炭酸ガスは空気中に放散していた。ここまでは、地政
学的には成り立つ場合もあります。たとえば石炭が安く、どうしても製品が欲しい、
合成ガソリン、戦時中のドイツ、南ア、アンモニアおよびその誘導品、宇部興産、イ
ンド他。

さて問題は2酸化炭素の方です。放散してはいけないとなると、深海、炭層に注入し
てしまう以外手はあまりありません。これだって相当怪しい。一番簡単なのは、炭酸
塩にして捨ててしまう事、地球環境はそうしている。ここにたとえば、100万kwの
石炭火力があったとします。相当効率がよく年間200万トンの石炭を燃します。
ざっと180万トンの炭素、炭酸ガスにして660万トン、カルシウムやマグネシウ
ムの分子量を調べれば良いのですが、それにしても約1000万トン級の固体となり
ます。これは多すぎて捨てられない。したがって深海や炭層への注入という話にせざ
るを得ない。これは大変なプロジェクトです。DOEの担当もわかっている、"Moon
shot"と表現しているのを聞いた事があります。

不可能ではありませんで、研究としては結構と思いますが、相当程度、政治的なブチ
カマシと、私は思っています。おっと私だけではなく、うちの化石グループのわかっ
ているのもそう思っている。原子力の相手にはまだまだです。

松井/IAE
-----Original Message-----
From: kkaneko [mailto:kkaneko@eagle.ocn.ne.jp]
Sent: Thursday, March 27, 2003 12:41 PM
To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp.iae.or.jp;
Subject:
各位殿