Subject: EEE会議(Re:米国の温暖化対策:CO2を出さない石炭火力発電所計画)
Date: Sun, 30 Mar 2003 18:26:09 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

標記テーマにつき、さらに益田恭尚氏(エネルギー問題に発言する会)からも次のよ
うなメールをいただきました。ご参考まで。
金子熊夫
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3/27午前中の金子熊夫氏の問いかけに松井氏、横堀氏などから早速投稿がありまし
た。
かねてから、私は2酸化炭素回収について疑問を感じておりました。
ちょうど良い機会なので投稿させて頂きます。
重大なポイントは2酸化炭素回収に必要なエネルギーバランスが殆んどの報道や説明
に記載されていないことです。
松井氏のレポートの前半にある1酸化炭素の場合は、それ自身まだ未燃焼のエネル
ギーを持っています。従って、そのエネルギーを利用すれば、米国の説明する処理が
できる可能性があるかと思われます。(しかしその場合、1酸化炭素の持っているエ
ネルギーの人間社会への有効活用をギブアップしたわけです)
2酸化炭素の場合はどうでしょうか。2酸化炭素を排気する際、普通は高温状態にあ
りますから、その高温のエネルギーを利用すればある程度のエネルギーが得られま
す。活性のある塩類を利用すれば他からのエネルギー供給なしに炭酸塩ができるで
しょう。しかし、そんな塩が天然に十分に存在するとは考えられません。そんな塩を
作るには膨大なエネルギーが必要です。深海に液体炭酸として注入する方法を提案し
ている例も時々見受けます。そのためには膨大な低温化のためのエネルギーと、深海
の高圧地帯に送り込むポンピングパワーが必要です。
松井氏のご指摘されている灰の処理も問題ですし、海水の酸性化も心配です。
しかし、エネルギーを得るためにエネルギーを使う方法を採用する場合、エネルギー
バランスを考えなければ何をやっているのか分かりません。
昔石炭を掘る際、炭鉱の排水のために大量の石炭が消費され、この解決策をなんとか
しなければと考えたジェームス・ワットが効率の良い蒸気機関の開発に成功し、これ
が産業革命に繋がりました。
しかし、残念ながらそんなうまい話がないことは、科学が進んだ現在では、略々先が
見えているのです。
炭酸ガス処理を勉強したこともない小生が意見を述べるのは、いささか気になります
が、エネルギーバランス上は、略々間違いないのではないかと思います。
若し間違っていましたらご指摘いただければ幸甚です。

益田恭尚
藤沢市辻堂4-9-53
takmasudajp@ybb.ne.jp

----- Original Message -----
From: kkaneko
To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp
Sent: Thursday, March 27, 2003 1:39 PM
Subject: EEE会議(Re:米国の温暖化対策:CO2を出さない石炭火力発電所計
画)


各位殿

標記の件に関し、松井一秋氏(エネルギー総合工学研究所)からも、次のような
メールをいただきました。ご参考まで。

なお、小生、本日から3日間、日本原子力学会春大会のため九州・」佐世保へ行っ
てきますので、その間EEE会議は一時休憩です。よろしく。
金子熊夫
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米側の発表を詳しく見ていない私ですが、すなわち石炭のガス化と炭酸ガス(2酸
化炭素)の回収・処分です。
石炭のガス化技術は今も開発努力がいくぶんか払われているはずですが、基本的に
は古くからある。酸素と水蒸気を1000度c以上の雰囲気の中に持ち込んで、水
素、1酸化炭素、2酸化炭素、灰分、多分他に硫化水素とか窒素とかややこしいもの
もいくぶんかあるでしょうが、に変換します。1酸化炭素は水蒸気と触媒で水素と2
酸化炭素の転換できますので、すなわち石炭は水素と2酸化炭素と灰になる。灰は如
何ともしがたいですので、大部分は捨てる事になります。なんせ石炭中に1割、2割
ありますから。今までは当然ですが炭酸ガスは空気中に放散していた。ここまでは、
地政学的には成り立つ場合もあります。たとえば石炭が安く、どうしても製品が欲し
い、合成ガソリン、戦時中のドイツ、南ア、アンモニアおよびその誘導品、宇部興
産、インド他。

さて問題は2酸化炭素の方です。放散してはいけないとなると、深海、炭層に注入
してしまう以外手はあまりありません。これだって相当怪しい。一番簡単なのは、炭
酸塩にして捨ててしまう事、地球環境はそうしている。ここにたとえば、100万kw
の石炭火力があったとします。相当効率がよく年間200万トンの石炭を燃します。
ざっと180万トンの炭素、炭酸ガスにして660万トン、カルシウムやマグネシウ
ムの分子量を調べれば良いのですが、それにしても約1000万トン級の固体となり
ます。これは多すぎて捨てられない。したがって深海や炭層への注入という話にせざ
るを得ない。これは大変なプロジェクトです。DOEの担当もわかっている、"Moon
shot"と表現しているのを聞いた事があります。

不可能ではありませんで、研究としては結構と思いますが、相当程度、政治的なブ
チカマシと、私は思っています。おっと私だけではなく、うちの化石グループのわ
かっているのもそう思っている。原子力の相手にはまだまだです。

松井/IAE
-----Original Message-----
From: kkaneko [mailto:kkaneko@eagle.ocn.ne.jp]
Sent: Thursday, March 27, 2003 12:41 PM
To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp.iae.or.jp;
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各位殿