Subject: EEE会議(Re:日本の原子力開発の進め方について)
Date: Fri, 25 Apr 2003 01:30:58 +0900
From: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>

各位殿

標記テーマに関する豊田正敏氏のコメント(4月21日)に対し、再び牧 英夫氏か
ら次のようなメールをいただきました。ご参考まで。非常に重要なテーマであります
ので、なるべく多くの方々からの建設的なご意見を歓迎します。匿名(ハンドルネー
ム)での配信もOKです。
金子熊夫

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豊田正敏様から詳細なコメントを頂きまして、有難う御座います。
提案されている原子燃料サイクルの進め方に関する感想、並びに、
ご指摘いただいた幾つかの点について、反省も含めて意見を述べます。
(3月31日付け提言と一部ダブりがありますが、ご容赦ください)

1。最も重要な点は、「Na冷却高速増殖炉」だけをビジョンの拠り所としてよいか、
という点ではないでしゅか。
(1)『「増殖炉」開発が40年でなぜ可能だと思うのか?』というご指摘がありま
した。
「Na冷却高速増殖炉」については、40年では無理だと思います。
先に紹介した日本原研の「低減速軽水炉」に関する解説論文では、転換比を1.05
くらいまで上げて、Pu増殖サイクルを2050年頃に実現させるシナリオになってい
ます。
これも、余程の覚悟で推進する必要があると思います。
(2)「Na冷却高速増殖炉」に関してですが、“公衆の安心”得られるレベルの安全
の観点や、
経済性、また、特に炉心のメンテナンスなどに大きな技術課題があり、道が遠いよう
に思います。
皆様方のご意見はいかがでしょうか?

2.複数候補の検討
(1)「Na冷却高速増殖炉」だけにビジョンを託すのではなく、地球の生き残りを賭
けた候補を
自由な雰囲気で討議し、柔軟に複数候補を選択することが、いま、大切だと思いま
す。
(2)第4世代原子力システム技術開発が、この動きの一環だと理解しています。
(3)「海水中のウラン資源利用」「トリウム資源の利用」は経済性の壁さえ打破で
きれば、
PAや利用技術上の問題は殆どなく、有力候補だと思います。
小生もU−Puサイクルばかりが念頭にありました。勉強させていただきます。

3.「低減速軽水炉」について
(1)技術的な課題について、専門的なご指摘をいただきましたが、これらに
ついて、私が定量的に回答する立場でないことと、その能力も不足している
ので、ご容赦下さい。日本原研が本格的な開発を計画しておられますので、
いずれ討議できる時期が来ると思います。
(2)転換比を上げるために、稠密炉心を構成しており、中性子のスペクトルが
従来の軽水炉と異なるため、開発課題が多々あると思います。特に、炉心材料
(燃料の被覆管を含めて)の信頼性実証が最も大きな課題ではないかと予想されま
す。
しかし、軽水炉であるという安心感と、長年の軽水炉での経験が生きるので、
「Na冷却高速増殖炉」に比べると、至近距離にあると考えて推奨する次第です。
(3)U−Puサイクルを念頭に置くとすれば、開発の順番を「Na冷却高速増殖炉」よ
り、
「低減速軽水炉」を先にするべきではないでしょうか。

4.開発体制
上述した種々の開発以外に、ご指摘のように、経済性の高い再処理技術が必須だと
思います。これらの開発は、例え国際共同開発体制をとるにしても、国力を懸ける規

になります。開発資金を誰が出すのか、この点を見直すことが必須だと思います。

                                      
   以上

----- Original Message -----
From: kkaneko
To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp;
Sent: Monday, April 21, 2003 11:59 PM
Subject: EEE会議(Re:日本の原子力開発の進め方について)