送信者: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>
件名 : EEE会議(Re:反原発グループの考え方)
日時 : 2003年4月27日 12:23

各位殿

先日(4月21日)標記メールにより、「原子力情報資料室]主催公開研究会の配布資料
「市民のエネルギーシナリオ2050〜将来の望ましいエネルギー需給構造〜」をご披露
しましたところ、この資料に関し、原研の佐藤治氏から次のようなコメントをいただ
きました。ご参考まで。
金子熊夫

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原子力情報資料室のシナリオを拝見しました。
2010年に原子力を廃止するためのロジック構築がすべてであり、2010年以降2050年ま
では実現性ぬきのただの願望なので、特に論評には値しないと思います。家庭、業
務、産業、運輸で2050年にそれぞれ50%、70%、50%、50%(対2010年比)の原単位
改善を想定していますが、こうした大幅な原単位改善をどのように実現するのかまっ
たく根拠を示していません。

さて、2010年までのロジックですが、柱になっているのは技術進歩と生活様式改善で
す。機器別の効率改善を細かく積み上げている努力は評価しますが、効率改善の想定
はあまりに楽観的です。家電機器の効率改善など、ストックベースの平均効率として
はとても無理でしょう。2020〜2030年までには達成できるかも知れませんが、機器の
大型化、機器の種類、数量の増加などの増エネ要因が効率改善を帳消しにする可能性
があることは、過去の実績が示すとおりです。

生活様式の改善については、呼びかけるだけでは実現しないことは自明。実現のため
には、市民団体の嫌う国の規制、誘導が不可欠です。公共交通機関利用へのシフトや
軽自動車の利用増加など、どのような政策措置でこうした生活様式の変化が実現でき
るのかを示さないと、やはり絵に描いた餅にすぎません。

全体として、原子力廃止を実現するために描いたシナリオとしては、まだ初歩的な検
討段階に留まっており、今後、個別の想定の実行可能性と実現するための手段の検討
が必要であると思います。それらを踏まえてシナリオを現実的なものにしていけば、
現在提示されているものとはかなり違ったものにならざるを得ないでしょう。

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佐藤 治
日本原子力研究所・エネルギーシステム研究部
システム評価研究グループ
E-mail : sato@ruby.tokai.jaeri.go.jp
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> ----- Original Message -----
> From: kkaneko
> To: Undisclosed-Recipient:;@m-kg202p.ocn.ne.jp;
> Sent: Monday, April 21, 2003 11:30 PM
> Subject: EEE会議(反原発グループの考え方)