送信者: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>
件名 : EEE会議(北朝鮮核問題の行方)
日時 : 2003年4月29日 8:28

各位殿

北朝鮮の核問題については情報が錯綜しており、真相は依然不透明ですが、北がかな
りの変化球を投げてきていることは確かなようです。従って、これに対する対応振り
も、相手のペースに乗せられないよう、「慌てず、じっくり」が正解でしょう。次に
ご紹介する意見には小生も当面基本的に賛成です。ただし、同時に、北朝鮮問題を含
む北東アジア地域全体の安全保障体制をどう構築して行くかという中長期的な視点も
必要だと小生は考えています(この点については、1、2月の小生のメールで既に何
度か私見を申し述べた通りです)。
金子熊夫

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◆慌てて菓子折を差し出すなかれ。。。◆
(2003/04/29)

 1994年10月21日、米国と北朝鮮は、北朝鮮の核開発凍結と関係改善
の道筋を定めた米朝枠組み合意に調印。95年3月、北朝鮮に軽水炉2基を提
供する国際情勢事業体「朝鮮半島エネルギー開発機構」(KEDO)が発足し
た。が、この条件付き核凍結すら、北朝鮮は当初から踏みにじってきた。

 韓国紙・東亜日報が4月28日伝えたところによると、北朝鮮は北京で先に
開催された米朝中の3者協議で、「幅広い新たな提案」として、米国の対北朝
鮮敵視政策の放棄などを条件に核放棄の意思を示したとされる。

 これは、3者協議の成果だろうか。北朝鮮は94年の米朝枠組み合意の段階
で、既に条件を付けて核凍結を持ち出し、KEDOを創設させて軽水炉稼働ま
での間の重油提供を獲得した。そしてそもそもの初めから、同合意を順守する
意思がなかったことは、これまでの経緯が示している。

 核兵器には、基本的にプルトニウムを使うもの(長崎型)と高濃縮ウランを
使うもの(広島型)があり、長崎型は精密な起爆装置を使うことから核実験が
不可欠。反対に、広島型は比較的構造が簡単で、核実験を省略することが可能
とされる。秘密裏に核開発を行うためには、核実験を省ける広島型が向いてい
る。

 北朝鮮は現在、使用済み核燃料棒8000本の再処理を開始。また天摩山地
下の「発電所」が高濃縮ウラン工場ではないかと指摘されている。KEDOが
提供する予定だった軽水炉2基など、北朝鮮はへとも思ってはいまい。

 北朝鮮の手を変え品を変えてのレトリックや脅しに対し、慌てて菓子折を差
し出すことは厳に控えるべきだ。(了)


国際情報ファイル・深層海流主幹 石川純一(文責)
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