送信者: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>
件名 : EEE会議(Re:北朝鮮核問題:ブッシュ政権の政策転換?)
日時 : 2003年5月6日 11:53

各位殿

先ほどブッシュ政権の対北朝鮮政策の転換(?)に関するNY Timesの報道記事をご紹
介しましたが、この報道を補足するものとして、次の分析が参考になります。
金子熊夫
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◆軍事計画策定は進むも、方針は核輸出阻止に転換?◆

                          (2003/05/06)

 ラムズフェルド米国防長官は5月4日、同国FOXテレビの番組で、核保有
宣言を行った北朝鮮の脅威について、米国にはそれに対抗する軍事計画が存在
するのか否かの質問に対し、「(計画を策定するのは)国防総省の義務」と断
言。既に計画そのものは策定済みか策定が進んでいることを示唆した。

 その一方で、ブッシュ米政権内では、北朝鮮のプルトニウム抽出や高濃縮ウ
ラン製造を食い止めることは戦術的に絶望的との判断が広がりつつあり、むし
ろ製造されたこれらの核物質が輸出されたりテロ組織の手に渡ることを阻止す
る方が効果的との判断が支配的となってきたとされる。

 ブッシュ大統領は5月3日に行われたハワード豪首相との会談で、米国の北
朝鮮に対する以上の「新たなアプローチ」を協議した。

 もっともラムズフェルド長官は5月4日の米CNNテレビとのインタビュー
では、ブッシュ政権の方針転換の可能性は何ら示さず、北朝鮮が核兵器製造を
続けた場合の米国の先制攻撃については、「非常に重要な問題であり、大統領
に判断を委ねる」としている。

 武力行使のオプションについては、クリントン前政権下で1994年深刻化
した朝鮮半島核危機の際にも米政府内で真剣に論議されている。当時のクリン
トン大統領は北朝鮮に対し、核物質の製造は米軍による寧辺核施設破壊につな
がると警告した。

 だが、韓国の盧武鉉大統領は来週の訪米時に、同大統領がいかなる形の軍事
行動も考えていないことをブッシュ大統領に明白に伝えるとされており、こう
いったことから、ブッシュ大統領も、核物質輸出阻止の方が現実的ととらえる
ようになったという。(了)


  国際情報ファイル・深層海流主幹 石川純一(文責)
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