送信者: "kkaneko" <kkaneko@eagle.ocn.ne.jp>
件名 : EEE会議(米国の超小型核爆弾開発計画)
日時 : 2003年5月8日 10:28

各位殿

米国の対北朝鮮政策は依然として不透明で、ワシントンでは、タカ派(軍事的強硬論
者)とハト派(平和的解決論者)が激しく対立しているようです。一方で、米国は
「ごろつき国家」に対して核兵器の使用の選択肢を放棄しておらず、そのために超小
型核爆弾(5キロトン=広島投下原爆の半分=以下)を装備したバンカー・バスター
(地中貫通爆弾)の開発を急いでおり、そのための核実験再開が内々に検討されてい
る模様です。

このタイプの核爆弾は、非戦闘員への被害が少なく、放射能(いわゆる「死の灰」)
の地表への放出も極めて少ないとされています。しかし、民間の専門家(スタン
フォード大学)の意見では、そのためには0.5キロトンの爆弾の場合でさえ地中50
メートル以上の深さまで貫通する必要があるが、技術的には地中15メートルが精々
だ、しかも現在米政府が開発しようとしている爆弾は100キロトン以上で、これだと
300メートル以上も貫通しなければならず、それは到底不可能だ、ということです。

いずれにしても、米国がこのような爆弾を開発すると、核兵器と通常兵器の区別が曖
昧になる惧れがあり、現在米国自身が懸命に阻止しようとしている核拡散を一層助長
する危険性があると、民主党のハト派の長老エドワード・ケネディ上院議員などは強
く反対しているようです。それよりも、現在野放し同然になっているロシアの解体プ
ルトニウムなどが「ごろつき国家」やテロリストの手に渡らないようにすることの方
が遥かに重要だが、そのための予算は、米国政府の核兵器開発予算の0.3%に過ぎない
と同議員は述べている由。

以上は、Environment News Service(ENS)が配信してきた最新情報(5月6日)です
が、関心のある方は別電の英文ページ(Bush Administration Keen on New Nuclear
Weapons)をじっくりご覧下さい。ちょっと長すぎるので、別電にしました。
金子熊夫