送信者: "Kumao KANEKO" <kkaneko@eeecom.jp>
件名 : EEE会議(使用済み食用油が燃料!)
日時 : 2003年5月16日 10:20

各位殿

米国では、環境保護と中東石油依存脱却を狙って、使用済み食用油を利用したバイオ
ディーゼル車に関心が高まっているそうです。
実際にどれだけ効果があるものなのか、疑わしい気もしますが、関心のある方は次の
情報をどうぞ。今朝拙宅に舞い込んできたあるメルマガの一部です。
金子熊夫
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<米国で見直されるバイオディーゼル車>


●使用済み食用油が燃料

 使用済み食用油を利用したバイオディーゼル車に関心が高まっている。有害物
質の排気を抑え、食用油の再生利用ができるとあって、環境保護推進論者にとっ
ては「ドリームカー」といえるものだ。ガソリン車がまだ圧倒的量を誇っている
市場にどこまで影響を与えるかは疑問視されているが、環境保護、中東石油から
の脱却を図るという点で政治的にアピールしている。

●環境保護と中東石油依存脱却図る

 石油の高騰や中東に紛争が起きるたびごとに石油に代わる代替燃料の開発や利
用が論議されてきたが、今、ローテクでも利用ができる代替エネルギー車に人気
が集まりつつある。

 カリフォルニア州では世界で最も厳しい排ガス規制が設けられ、各自動車メー
カーやベンチャーは競って電気自動車や燃料電池、ハイブリッド車を開発してい
るところ。

 ところが、使用済みの食用油を再生利用することで、ディーゼル車を運転でき
るとあって、本格的なビジネスに転換しようとの動きが強まっている。

 そのメッカともいうべき所がリベラルな政治思想が支配するカリフォルニア州
サンフランシスコ。ここは1980年代に米国でも先駆けてバイオディーゼルの給油
所を設けた所で有名だが、全米各地に少しずつだが同じようなバイオディーゼル
給油所のネットワークが築かれつつある。

 バイオディーゼルの商用販売は1999年で50万ガロンだったが、昨年は1500万ガ
ロンに達した。しかし、バイオディーゼルは家庭でも簡単に製造できることから、
実際の使用量は商業用販売量をかなり上回っているはずだ。

●家庭で作れるバイオディーゼル

 バイオディーゼルの家庭での製造は至って簡単。

 ドラム缶を用意し、家庭で使用した食用油や近隣のレストランなどから廃物と
して集めてきた食用油をため、濾過(ろか)した後、灰汁とメチルアルコールを
混ぜて電気ヒーターで加熱、一晩放置する。上にたまった塊はせっけんに利用で
きるもので、その下にある液体がそのままバイオディーゼルとして利用できる。

 この技術は自動車が開発された当時から知られており、100年来利用されてき
た燃料だ。

 低価格な石油の普及でガソリン車が優勢になってしまったが、中東情勢に絡ん
だ石油の高騰、ガソリン車による排ガス環境汚染が問題になる中で、今、このバ
イオディーゼルの価値が見直されている。

 全米に20社ほどこのバイオディーゼルの販売と開発を行う会社が設立されてい
る。ロスチャイルド・モーターズ社もその1つだが、ロスチャイルド社長は「製
造は驚くほど簡単。これは正しい方向だ」と、バイオディーゼルの普及に全力を
注いでいる。

 全米的なバイオディーゼル推進協議会も築かれ、環境保護に関心がある歌手や
俳優によるバイオディーゼルの宣伝も行われている。

 フォークシンガーのメリサ・クラブツリーさんは、1984年製フォード・エコノ
・バンを購入、全米ツアーをこの車で行い、自身もバイオディーゼルの利用を唱
える歌まで作って披露している。

●普及に食物メジャーが支援

 宣伝普及の成果があって、サンフランシスコのゴミ回収車やスクールバスはす
べてバイオディーゼルを利用、全米の300のシステムでバイオディーゼル車が運
転されている。カリフォルニア中部にあるベーカーズフィールドには全米最大の
バイオディーゼル工場を建設中だ。

 しかし、こうした宣伝とは裏腹に、先行きを冷ややかに見る向きも多い。ディ
ーゼル車は全米の自動車市場で現在わずか1%のシェアしか占めていないし、推
進しているグループに歌手など対抗文化に影響されている人が多いことから、ほ
とんどの米国人や企業人はまともに相手にしないだろうという見方もあるからだ。

 今後の課題はバイオディーゼルの入手を簡単にするため、給油所のネットワー
クを広げること、さらに通常の商用ディーゼルの2倍以上もする価格を下げるこ
とだ。

 米議会はバイオディーゼルに関しては補助金を出す法案を通過させることも検
討している。バイオディーゼルは石油メジャーの利権に対抗できるものだが、実
はこのバイオディーゼル推進では、大豆などを生産している米国の食物メジャー
が支援している。

 バイオディーゼルが普及すれば、食用油の原料の増産、販路に活路が開けると
の将来のビジネスを見越した皮算用があるからだ。

 バイオディーゼル推進運動がヒッピー文化的なものに終わるのか、それともメ
ジャーを巻き込んだ米国の主流的な流れになるかについては、今後の政治的、社
会的、経済的環境の変化とオピニオンリーダーの動きに左右されるところが大き
い。
                    (ロサンゼルス・宮城武文)