送信者: "Kumao KANEKO" <kkaneko@eeecom.jp>
件名 : EEE会議(Re:使用済み食用油が燃料!)
日時 : 2003年5月16日 15:42

各位殿

標記テーマに関して、早速内田晴久氏(東海大学教養学部人間環境学科教授)から、
次のようなメールをいただきました。ご参考まで。
金子熊夫

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本日頂戴いたしましたバイオディーゼルについてですが、2000年度に、本学教養学部
で、産学連携の形で、湘南校舎の円形食堂に食用油を用いたボイラーを設置し、キャ
ンパスから廃棄される食用湯を燃料として、1年間、稼動試験をするとともに、CO2の
排出量の推計をおこなってみました。結果的には、バイオマスであることから、環境
負荷は小さく、経済的にも、それまで支払っていた廃棄物処理費用がなくなるととも
に、燃料費の削減で、およそ70万円の黒字となった次第です。通常の鉱物油と比較し
て、燃焼温度が高いこと、不純物が色々と混ざっていることが技術的解決課題です。

バイオディーゼルとして注目を集めているのは、メタノールと混ぜ合わせて反応さ
せ、灯油の代替として使おうとするものです。トラックなどのディーゼルエンジンに
用いて使用しますが、窒素酸化物が多少多めに出ること、エンジン内部にタールのよ
うなものが固着すること、更に廃棄ガス中には、未燃焼燃料パーティクルが出てくる
といった報告があるようです。

それでも欧州(フランス、ドイツ)では、盛んになっているようで、農業政策の一環
(生産量調整)だと思われますが、新油(搾油したもの)を用いています。日本国内
では、廃食用油の処理方法の一つとして使用しているのがほとんどです。国内では、
年間、生産量のおよそ1割に相当する量が廃食用油として約40万トン排出されてい
るということで、そのうちの約半分は飼料などの原料として再利用され、残りの半分
の20万トンが行く先不明、多分、燃えるゴミとして処理されていることと思われま
す。全体量としては、エネルギー源としては、あくまでも補助的です。あと、メタ
ノールをどこから確保するかも課題といえます。
なたね等から搾りますが、確か、畑の面積から計算すると、太陽電池よりも面積効率
は小さかったと思います。国内では、なたねプロジェクト等が、北海道や滋賀県で動
いていますが、エネルギーの確保というよりも農業振興に近い結果となっていると思
われます。
雑駁な内容で恐縮ですが、とりあえずお知らせいたします。

東海大学教養学部人間環境学科
内田晴久

-----Original Message-----
From: Kumao KANEKO [mailto:kkaneko@eeecom.jp]
Sent: Friday, May 16, 2003 10:21 AM
To: Undisclosed-Recipient: ;@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp
Subject: EEE会議(使用済み食用油が燃料!)