送信者: "Kumao KANEKO" <kkaneko@eeecom.jp>
件名 : EEE会議(青森県と原子力:問題点のチェックリスト)
日時 : 2003年5月20日 23:47

各位殿

木村青森県知事の突然の辞任は大変ショッキングな出来事でしたが、日本の原子力政
策に占める同県の重要性を考えると、私たちも決して傍観者たり得ず、今後同県の県
政がどうなって行くか、それとどう関わって行くべきか、よく考える必要があると思
います。そうした観点から、柴山 哲男氏(エネルギー問題に発言する会)が関連す
る一連の問題点をリストアップして下さいました。これを参考にして、色々な角度か
ら問題点を議論してみたいと思います。また、議論に役立つ関連情報や地元のニュー
ズも積極的に提供してください(とくに青森県在住の方々にお願いします)。いつも
のように、匿名(ハンドルネーム)でも結構です。
金子熊夫

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 報道の通り、5月15日付で青森県木村守男知事が自信の女性問題もあり辞任され
ました。新知事選挙は6月29日の予定ですが、今回の知事選挙が核燃料サイクルの
みでなく日本の原子力全般に大きな影響を与えるところから皆様も十分御承知のこと
とは思いますが、敢えて課題を整理してみました。

 現在青森県が抱えている原子力関連の課題としては次のものがあります。先ず六ヶ
所関連では急を要するものとして
 1 再処理施設で漏洩の発見された使用済み燃料貯蔵施設の補修と使用済み燃料の
搬入再開
 2 再処理施設ウラン試験の開始に伴う安全協定の改訂、調印
 3 MOX燃料工場の立地承認
またむつ市では
 4 使用済み燃料中間貯蔵施設(リサイクル燃料備蓄センター)の立地承認
が近いうちに判断時期を迎えることになります。
 その他判断時期までには未だ若干の期間が必要ですが
 5 東通原子力発電所(東電1,2号、東北2号)の立地承認(漁業交渉中、一部
は妥結)
 6 大間原子力発電所の立地最終承認(安全審査を中断し炉心位置変更検討中)
 7 六ヶ所における時期埋設施設(高ベータガンマ廃棄物)の立地承認(調査抗掘
削中)
 更に若干性格は変わりますが
 8 ITER(国際熱核融合炉)の六ヶ所立地推進等が考えられます。

 これだけの多種多様の課題が一つの県に集中することの是非、決定が実質的に地元
首長の判断に依存せざるを得ないことの是非については夫々議論があることと思いま
すが、これに頼らざるを得ないのが現状です。上記の内1項の使用済み燃料の搬入再
開については知事の承認は法的には不要と考えますが、後続する課題を考慮すると強
行も出来ず知事の了解は必要となるでしょう。

 知事選の立候補者が未定の段階で時期尚早かも知れませんが、原子力開発に批判的
または慎重な考えの方が当選された場合の影響は単に個々の施設の立地、稼働が不可
能または大幅延期になるだけでなく、特に燃料サイクルにとってはプルサーマルの延
期、もんじゅ裁判の判決と相俟って大幅な後退を余儀なくされる可能性があります。
また使用済み燃料の搬入、中間貯蔵施設の立地後退は原子力発電所の稼働に影響を与
える可能性もあります。仮に原子力推進の立場にある方が当選されたとしても、前知
事が時には強引とも思える手法で県の立場を主張すると共に推進してきたのに比べる
と若干意志決定に時間を要することも考えられます。

 以上詳細については今後議論する機会に譲るとして当面の懸念事項を記載してみま
したので御意見があれば宜敷く御願い致します。
 
柴山 哲男
tetuo shibayama
shibayama@mvh.biglobe.ne.jp