送信者: "Kumao KANEKO" <kkaneko@eeecom.jp>
件名 : EEE会議(Re:日本核武装論など)
日時 : 2003年5月24日 7:26

各位殿

一昨日(5/22 22:03)標記テーマに関する神田啓治氏の講演要旨メモ(澤田哲生氏文
責)をご披露しましたところ、これに対して、向山武彦氏(エネルギー問題に発言す
る会、元日本原子力研究所)から、「このメモの3)と4)に関して技術的に重大な
誤解があると思います」として、添付ファイルのようなコメントをいただきました。
 やや長文なので、最初の部分(全体の4分の1程度)だけを以下にご紹介します
が、専門家の方々は是非添付ファイルで全文をご覧下さい。
KK
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4月18日東京工業大学第7回学術フォーラム「多価値化の世紀と原子力」における
京大名誉教授の神田啓治氏の講演のメモを東工大澤田澤田哲生氏が作成され、EEE会
議メールで配布されましたが、その内容には技術的誤解があると思いますので、以下
にその誤解に関する私の見解を取りまとめました。

メモ項目3) 高性能Pu爆弾の最小臨界質量:

「IAEAが言う8kg」は臨界質量ではありません。
保障措置上の有意量(Significant Quantity: SQ)です。
即ち、査察によりPu在庫量が8kg以上少なくなっていた場合には核兵器への転用が
あった、と見なす検知目標値です。
SQに関しては米国のトム・コクランやレーベンソールなどがPuの場合には1kgにする
べきだとの議論をしていた記憶があります。
「2kgというのはちょっと聞かない。」は間違いでしょう。

「高性能Pu爆弾の最小臨界質量」等というものは定義出来ないのではないでしょう
か。
Pu爆弾は爆縮を用いてPuの塊の実効中性子増倍係数が約2になった時に、中性子を発
生させて連鎖反応を開始し、爆発力を高めるようです。
従って、爆弾の最小臨界質量等は無意味になります。
Npを代替核物質として取り扱う事に関して、IAEAにおいて議論した時にもNpのSQにつ
いては議論はしませんでした。
いまさらSQの議論をしてもしょうがない、と言うのが国際的なコンセンサスであると
思います。


メモ項目4)AFCI(先進核燃料サイクル計画)

AFCIに関してはいろいろなところで発表されていますし、また。原産新聞4月10日
号、原子力eye6月号にも解説記事が記載されていますので、その内容については皆様
ご存知と思います。

私自身、AFCIの核拡散抵抗性の側面を検討する委員会に米国エネルギー省の招きによ
り委員として参加して、開発担当者の話をじっくり聞く機会がありました。

AFCIに関して神田氏のような捉え方(有り体に言えば高温化学法開発)をしている人
は皆無と思います。

以下に、DOEの資料(連邦議会へ提出した報告書、DOE委員会資料)に基づいてAFCIの
概要を述べます。

(以下省略)