EEE会議(Re:日本核武装論を糺す)
2003年 6月 6日

各位

先日(5/29)ご高覧に供しました拙稿「日本核武装論を糺す」に対し何人かの方々か
ら懇切なコメントをいただきましたところ、その中の澤田、板倉両氏のコメントに対
し、益田恭尚氏(エネルギー問題に発言する会会員、元東芝、工学博士)から次のよ
うな貴重なメールをいただきました。ご参考まで。 ちなみに拙稿は、6月2日発売
の「世界週報」(時事通信社)に掲載されているはずです。
金子熊夫

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私は金子熊夫先生のご意見に全く同感です。
板倉さん、澤田さんのmailも読ませていただきました。庶民には分かりにくいと感じ
ました。庶民の立場で、平易な文章で、あえて一言言わせて頂きたいと考えます。

私は国際的に見た場合、日本の核武装は全く意味がないと考えます。
核を持っていたからといって、それが抑止力となって、核攻撃を受けないとはとても
いいきれないでしょう。特に現在想定されるような国の場合はなおさらです。日本の
ような狭い国は2,3の都市を狙えば数発で壊滅です。核戦争になれば広い国土の国
や、人口密度の低い国に比べ不利なことは明らかです。

核攻撃のリスクを少しでも減らすためには、外交努力と共に、防衛的軍備の充実、特
に、迎撃ミサイル等の開発と設置については真剣に考える必要があるでしょう。
核開発という点から考えると、日本の場合、テロ国家と違い、性能の悪い核弾頭を
持っても全く意味が無いでしょう。例え性能が良い核弾頭が開発出来たとしても、核
実験をどのように考えるのでしょうか。核実験でもしようものなら国際世論から袋叩
きにされ、わが国のような国はとても成立なくなるでしょう。核を持つことのリスク
の方が、持たないリスクより遥かに大きいと思います。

日本も核武装した方がよいなどという誘いに乗らないためにも、非核武装宣言を憲法
に盛り込むことを真剣に考えるべきではないでしょうか。
誰かが提案し、国会レベルで取り上げることにより日本の立場も鮮明になります。
逆の目(核武装すべきだ、権利を保留すべきだ)の出る心配もなくはありませんが、そ
の場合は、日本はそんなものかということでしょう(私はそのようなことになるとは
思いたくありませんが)。
日本の立場を明確化することにより、再処理の結果でてくるPu等についてのあらぬ疑
いを晴らすにも、国際交渉がやりやすいという副産物も期待できます。

尚、今原子力発電に従事している技術者の中に、核武装のために協力しようという技
術者は絶無と思います。しかし、このような問題解決には、矢張り民主主義と政治の
力によるべきで、科学者や技術者の良心だけに期待するのは無理があることは歴史の
示す所です。

益田恭尚