EEE会議(自由討論:「対米関係をどうするか?」)
2003/6/30

各位殿
 
イラク戦争の事実上の終結から早くも1ヶ月半余。目下日本国内では、イラク復興支援(自衛隊派遣)問題、イラン核問題、北朝鮮核問題等々を巡る議論が盛り上がっています。しかし、1ヶ月近い欧州旅行から帰ったばかりの小生が「岡目八目」でみると、相変わらず皮相的な議論が目立ち、どうも日本外交の基本線が見失われているように思われてなりません。今日本に一番問われているのは、いうまでもなく、対米関係をどう構築して行くかです。ただ徒らに「日米同盟堅持」とか「核不拡散重視」と鸚鵡返しに唱えるだけでは到底持ちません。
 
そこで、当EEE会議でも、エネルギーや原子力問題からちょっと離れて、この「日本は世界最強国家・米国と今後どう付き合って行くべきか?」という大問題について大いに議論していただきたいと思います。とは言っても、いきなり議論というのもなんですから、1つの「たたき台」として、今朝偶々拙宅に舞い込んできたあるメルマガに載っていたコメントをご紹介します。論者は小生が全然知らない人で、一部論旨不明ないし支離滅裂な所もあり、小生自身この人の意見に同調しているわけでは全くありませんが、部分的にはなかなか面白い見方ではあると思います。つきましては、差し当たりこれをサンドバッグ代わりにして、どんな反論、異論、暴論でも自由かつ気軽に攻撃してください。匿名でもOKです。--KK
 
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    <米国との関係をどう構築するか?>

日本や世界にとって悩ましい問題がある。それはどのような米国との関係を構築するかだ。

イランや北朝鮮などのように、敵としてその存在を明確化する方法は、この2国以外できないでしょうね。この2国はいつ米国から戦
争を仕掛けられるかわからない。北朝鮮攻撃用に小型核兵器も米国は開発するようであり、いつ北朝鮮が崩壊するかは米国の胸次第で
ある。イランは、米国からイラン内の反政府活動家に資金援助があり、内政干渉されている。米国の敵になると、大変な目に会う。

またはドイツやフランス、ベルギーなどのように米国の海外政策に同調しないことも考えられる。米国の競争者との位置付けになって
いる。しかし、このような対応をすると、米国政府からの陰湿ないじめと、大市場の米国国民から不買運動を起こされることを覚悟
する必要がある。米軍は、ドイツから東欧の友好国家に移転するようであり、今後、独仏はあまり米国と政治的な対立をしないようで
ある。

もう1つが、日本や英国、韓国、豪州、ポーランドなど東欧のように米国のお気に入りの行動を取るか、米国の行動に反対しない。
そして、韓国は北朝鮮に援助しただけで米国ネオコンから文句が出ている。米国の意向を常に調査して、あまり米国の反対が出る行動
はしないことだ。しかし、英国ブレアのように米国の意向どおりに行動すると、国内の支持が得られなくなる可能性がある。日本の小泉首相もイラクに派遣する自衛隊の隊員が複数死亡すると、責任問題になる可能性があり、ブレアと同じ状況になる可能性がある。

そうして、最後の方法が、アフリカや中南米・中東諸国など米国に反対であるが、そのようなことも言わず、かつ行動もしない。
その他、大勢の無行動な国家群である。

この4つパターンが米国との関係の基本形であると考えられる。

日本はどの行動を取ればいいのか、検討する必要がある。日本の国際的な位置は、経済的に世界第2位の大国になっている。そして、その輸出量は米国と中国が同程度で欧州関係が次に多い。この米国への輸出が不買運動で止まると、経済的には手痛いことになるでしょうね。

フランスは欧州関係への輸出が多いので、あまり米国への輸出がないのに、それでもフランスワインや高級装飾品で影響を受けている
。ドイツの方が米国への自動車輸出が多いので、大きな影響を受けている。このため、企業経営者はドイツの対米政策に反対して、親
米外交をするべきと言っている。ドイツ経済が落ち込んだのも、米国への輸出が落ちたことが影響している。

フランスはアフリカに権益を持っているが、これも米国は狙っている。特にコンゴなどには、ダイヤモンドがあり、紛争の裏には仏米
や英の影を感じる。仏米は資源の奪い合いを世界的にしている。今回のイラクも仏米露の石油資源争奪戦と見える。米国は、イラク
戦争をして、石油を得ている。仏は石油権益を失っている。このため、今後もこのようなことが起こりやすい。ロシアも同様にイラン
に権益を持っている。米露の蜜月もいつまで、持つか?

日本は韓国、米国と北朝鮮問題を抱えている。これが無ければ、もう少し日本の独自性が出せるが、この北朝鮮核問題は米国の関心を集めているため、米国抜きでは交渉も出来ない。北朝鮮も米国をこの問題に入れてしまったために、強硬策を米国が取りやすくなっている。米国はこの問題で日本、韓国の行動を縛ることが出来る。日本と北朝鮮との国交正常化交渉が引き金で、米国は核問題を持ち出していたことを思い出して欲しい。

米国は一国主義・帝国主義で世界の警察(グローバル・コップ)として世界幕府の行動をするようである。このため、米兵の犯罪でも
国際裁判所に持ち込むことを拒否している。米国は世界のどこでもその国が米国の敵であれば、侵略できる権限があると主張している。
それもこの敵に先制攻撃できるとしている。これは米国の敵の存在を許さないということである。

しかし、その強硬策の行動は米国経済に大きな負担を掛けることになる。イラクやアフガンでも米国、英国以外の国の軍隊は、多くても数百人規模しか送っていない。英国でさえ数千人の規模で、米国の20万人規模の軍隊は送っていない。日本の一千人規模で2番目に多い。韓国は500人規模である。豪州はあれほど米国の味方をしているが、60人規模の特殊部隊しか送っていない。このように米国の
味方をしているようで、軍隊をイラクに送っていない。このため、20ケ国から軍が送くられてくるが、総勢1万人規模だそうである。
各国家が軍隊を送る理由は米国の味方である印として必要だからでしかない。

軍のメインは米軍だ。日本の装備は米国軍と同じであり、データリンクが取りやすいため、米国は日本の自衛隊を使いたいのであろう
。特にイージス艦の派遣を要請しているはず。

20万人の規模の軍隊で、1人月20万円の経費としても、人件費だけで48億ドル、戦車や航空機などを含めると年経費は数百億ド
ル(数兆円)の規模になる。このため、本格的なゲリラ戦になると、米国にもイラク植民地支配は大きな負担になる。大英帝国の没落
と同じ道を歩むことになる。そして、他の国はイラクに軍隊を送るが、ゲリラ戦の掃討作戦に従事しない。ただ見ているだけ。

米国の帝国主義に恐れをなして従っているだけで、ブレアは知らないが、英国民を始めとして、ほとんどの国の国民は心の底では米国の帝国主義、一国主義に反対している。

日本も同じである。同じ対応をするしかないはず。つまり、米国の帝国主義に国民は反対するべきで、その帝国主義を助けるイラク派遣には、民主党も反対することが必要である。いやいやながらの自衛隊派遣を日本国民全員で演出する必要がある。 (F)