EEE会議(Re:核燃料サイクルオプションと地層処分).................................2003/7/8

皆様
 
日本の核燃料サイクル・オプション問題については、目下いろいろな関連問題点を巡って活発な議論が展開されておりますが、6月30日付けの豊田正敏氏のコメントに対し、再び河田東海夫氏(JNC)から次のようなメールを頂きました。 ご参考まで。 なお、河田氏の最初のメール(6月27日付け)及びそれ以後の関連するメールのバックナンバーは総てホームページ(http://www/eeecom.jp) に掲載されております。
ーーKK
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小生が送りました表記情報について、6月30日に、豊田氏からコメントを頂戴しております。遅くなりましたが、何点かお答えしたいと思います。
 
まず、「JNCは、本来の使命である高速増殖炉及び高度再処理技術の実用化のための技術開発に、もっと真剣に取り組み一日も早い実用化を目指すべき」とのお言葉は、全くそのとおりであります。小生、今はこれらの直接の仕事から離れておりますが、現場にも出向き、支援・指導をしてまいりたいと思います。
 
直接処分については、小生もこれを完全否定しているわけではありません。
原子力発電規模の小さな国や、原発フェーズアウトを決めている国では、排出される使用済燃料が限られているので、多少処分場面積が相対的に大きくなっても、直接処分は現実的方策だと思います。
しかし、日本は今後も相当長期にわたって(何世紀も)原発に依存しなければならないであろうと思っていますので、その場合は限られた面積にできるだけたくさん高レベル廃棄物を処分できる方策を志向すること、すなわちリサイクル政策を堅持することは正しい方向だと思います。
もちろん、日本も原発から早期撤退を決めるのであれば、その後始末策は当然直接処分になるでしょうが、日本の将来を考えれば、今はそういう選択をすることにはならないと思います。
 
再処理・プルサーマルが現時点では長期貯蔵より高くつくという問題については、その理由だけでせっかく完成間じかの再処理工場を無駄にしてしまうのは賛成できません。そのために現在の電力自由化拡大策との間で、何らかの調整策、支援策が必要だと思っています。自由化の荒波の中で、電力経営としては経済的に負担がかかる再処理・プルサーマルにコミットすべきでないとの議論は、わが国が100%完全自由化を目指すとするなら、十分理解できます。問題は、それだけでは済まない要素があるということで、今後の自由化と原子力の両立議論の中で、国と電力関係者の間でしっかりとした議論が行われることを期待したいと思います。
 
ところで、使用済燃料の崩壊熱について、FPのSrとCs が最も大きな発熱源というお話ですが、50年冷却後ではFPの発熱が58%、アクチニドの発熱が42%と拮抗しており、この関係は60年を過ぎるあたりで逆転します。アクチニドの発熱は主に、Pu238の発熱と、Pu241の崩壊でどんどん蓄積してくるAm241の発熱が大きく寄与しています。この辺の問題と処分場の関係については、秋の原子力学会に整理して発表したいと考えております。
 
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核燃料サイクル開発機構
経営企画本部 企画部研究主席
河田 東海夫
E-Mail: kawata@hq.jnc.go.jp
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