EEE会議(Re:燃料電池=水素エネルギー開発の問題点:近藤氏→内田氏)..........2003/7/20
 
標記テーマに関する内田裕久氏のメール(7/19)に対して、近藤駿介氏からさらに次のようなメールをいただきました。ご参考まで。
--KK
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内田先生のご意見に同意します。また、示唆に富むご見解、エネルギー基本計画の今後の議論にパブリックコメントの形で入力されることをぜひお願いしたい、とまことに虫のよいお願いをしたく存ずる次第です。
 
なお、WE−NETの打ち切りについて小生は総合科学技術会議が政府の全ての科学技術活動について5年刻みの中期計画を求めたことに対応しての行政の過剰反応と理解していました。最近、政府の科学技術行政においては中期計画の明確化、その際におけるアウトカムの明確化という言葉が飛び交っています。それはそれで大事なことなのですが、その方針を貫徹する際に必然的に伴う不確実さを踏まえた意思決定に付随するリスクを管理する責任を自覚し、それ以外の方策とのリスクベネフィットの分析結果を踏まえての発言や決定なのかと疑いたくなるときもあります。
 
エネルギー基本計画の審議におきまして小生は、研究開発活動には短期、中期、長期という計画地平の異なるものがあり、それらの適切な組み合わせを推進することが国民の付託に応えるためには重要であること、同時に、技術開発はリスクのある活動であり、しかもアイデアが懐胎されてから実用化に至るまでに、死の谷とか悪夢の時代とか形容される長い忍耐の時期が必要であり、この段階において政府が如何に支援を続けるかが重要であり、しかし容易ならざる判断を求められるものであることを指摘しました。
 
しかしながら、このようなことは体系的研究をもって政策運営の常識になるようにする工夫が必要であり、エネルギー研究開発のこのような性格と我が国が当面している状況を踏まえれば、先生ご関係の燃料電池の研究開発の歴史などいくつかのエネルギー技術開発の歴史をケーススタディの対象としてエネルギー研究開発政策が直面する課題を分析して、あるべき政策戦略を提言していくことが求められているのでないか、米国においてはこのような研究がNIST、ハーバード、MITで実施されていますが。我が国では極めて不十分と感じています。
 
近藤駿介