EEE会議(核燃料サイクル論議に関する古川和男氏の提言への回答) ..........................................2003.8.5
 
昨日お届けした古川和男氏のコメントに対し、永崎隆雄氏から次のような回答が寄せられました。ご参考まで。 
--KK
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 古川様の提言と我々「若い者」に対する忠告に感謝いたします。私のような年寄りが「若い者」と言われて、本当に日本の原子力は老齢化したなと思いました。古川様の提言に対して以下、気づきました点3点をお答えいたします。


1.世代相違による「R&D Project」概念認識の差がある。

<回答>
プロジェクトの認識は大差があると思います。従来の事業団の実験炉⇒原型炉⇒実証炉・民間による⇒商業炉プロジェクトの遂行法は以下の点で改革が必要だと認識しています。
 

 1       時間と費用がかかり過ぎる。

 2      研究開発事業団と民間が分離し、民に開発能力が付かず、引継ぎがうまく行かない。

 3       研究開発事業団主導の開発は市場ニーズが反映されない。

 4        計画経済的手法で市場への挑戦がない。

 

今日、市場競争が激しい一般の民間事業で、このよう手法をとっているところはないのではないですか?即ち、

 1   実験からすぐに商業炉に入ること

 2   官と民の合体開発と合体商業化

することで研究開発費を節約し、市場参入を早め、利益早く取るのが最近の企業ではないですか?

高速炉開発に50年もかけるということは疑問です。


2.Purex系の再処理技術が再生できるとは思えない。安全性・経済性から乾式、「直接弗素化揮発法(FREGATE)が単純明快な解と思う。
 

<回答>

直接フッ化物揮発法はかってアメリカで実施し、失敗した方法です。原因は高放射性の元素が工程に付着蓄積し、設備の補修が困難になったと聞いています。日本でも原研で実験し、その技術で動燃が回収ウランの六フッ化ウラン転換プラントを作り、試験しました。その経験からしますとやはりフッ化炉に高放射性物質がどんどん蓄積しきます。天然ウランや回収ウランくらいの極低不純物なら問題は何とかなります。

今、フランスやロシアがこのような乾式法を商業用に採用していますか?両国ともやはりはPurex法を採用しているのではないでしょうか。


3. Pu thermalなどは、もしFBR実用化を確信しているならば一層、豊田氏も言われるようにPuの無駄使い(目減りしてしまう)で、自己矛盾。Puは不足で困るからである。

<回答>

私の説明が悪かったのですが、私が言ったことは軽水炉再処理がずっと続くことです。回収したプルトニウムを軽水炉にリサイクルすることではなく、高速炉に70年から100年供給し続けると言うことです。


4.さらにその前に、今後四十年?間にわたる人材"志気"に不安はないのであろうか?
 学部はなくなりーーー。(そのためにも、世界戦略でなければならないだろう。) もしあれば、皆の問題である。聞かせて欲しい。これを豊田氏も最も心配されていると読んだ。

<回答>

再処理事業もプルサーマルも止め、ただ安いだけのワンススルーをやる原子力に人材は集まりますか?

再処理事業も原子炉建設も同じで、民間事業の継続なしに、人材は集まるわけがなく、技術維持はできないと思います。