EEE会議(Re:プルトニウム利用の基本的な考え方:原子力委員会の狙い)....................................2003.8.7

昨日(8/6)皆様に差し上げました標記件名のメールで、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」と題する原子力委員会の決定(8月5日発表)に関する小生の疑問をいくつか指摘しましたところ、早速、原子力委員会事務局の犬塚 隆氏から、次のようなメールにより大変懇切な「補足説明」をいただきました。つきましては、この説明も踏まえて、色々な角度から活発にご議論をいただきたいと存じます。--KK

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原子力委員会事務局の犬塚です。

先に金子先生からご案内いただきましたとおり、8月5日、原子力委員会で「核燃料サイクルについて」と取りまとめ、また、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」を原子力委員会決定致しました。その内容につきまして補足説明致します。

原子力委員会では、昨年11月から「核燃料サイクルのあり方を考える検討会」を開催し、立地地域の市町村長、電気事業者、ジャーナリスト、消費者、専門家、研究機関及び行政庁から9回にわたりご意見をうかがいました。同検討会等で提起された意見を踏まえ、核燃料サイクルについて国民から提示されている様々な疑問に対して真摯に答えるものとして「核燃料サイクルについて」を取りまとめました。今後は、本取りまとめを議論のベースとして、地方において原子力委員会と国民との直接対話を行うなどの試みを行う予定です。

また、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」は、平和利用の観点から、「利用目的のないプルトニウムを保有しない。」との原則を原子力委員会として表明してきたところですが、透明性向上の観点から、今般その基本的考え方を原子力委員会として示しました。今回の措置により、プルトニウム利用に関し、内外からの疑念を招かぬよう、その利用の一層の透明化が図られるものと期待しております。

特に、「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」の真意については、同文書の中にも明記しておりますように次の通り考えております。

    我が国は保障措置制度の適用を受けることのより、プルトニウムの平和利用に対する国際的な担保がなされているところですが、国内外の懸念を生じさせないよう、プルトニウム利用の透明性を図る観点から、原子力委員会としては、利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないとの原則を示すとともに、毎年プルトニウム管理状況を公表するなど関係者が平和利用に係る積極的な情報発信を進めるべきとの方針を示してきたところです。

    六ヶ所再処理工場は、現在建設が最終段階に達しており、アクティブ試験の段階から使用済燃料からのプルトニウムの分離、回収が開始されることになります。六ヶ所再処理工場の操業に伴い、今後は相当量のプルトニウムが分離、回収されることとなるため、原子力委員会としては、当該プルトニウムの利用目的を明確に示すことにより、利用のより一層の透明性の向上を図ることが必要と考えたところです。

    そのために実施が必要な措置について「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」として示したものです。

    つまり、我が国の原子力政策にとって、平和利用は絶対的な大原則であり、その確保は原子力委員会の最も重要な任務の一つであると考えていることから、プルトニウム利用の透明性を図る観点から示したものです。

    その意味から、金子先生がおっしゃられる『(3)「余剰プルトニウムを持たない」という国際約束を履行しようとしている』が真意と考えております。

これら「核燃料サイクルについて」や「我が国におけるプルトニウム利用の基本的考え方について」は原子力委員会で公開で議論されてまいりました。しかし、その真意等あらゆる方々に必ずしも説明し尽くせていないこともあるかと思います。

特に「核燃料サイクルについて」は、今後、本取りまとめを議論のベースとして、国民等との直接対話ができるよう取りまとめたものであり、原子力委員会として具体的に対話を実施していく予定です。

取り急ぎ、内容、事実関係について補足的にご報告致しました。引き続き金子先生のおっしゃるとおり多角的な貴重なご意見をたまわれればと考えておりますのでよろしくお願い致します。