EEE会議(核燃料サイクル・オプション論争:古川氏→永野氏)..........................................2003.8.9
 
先般来豊田正敏氏らを中心に展開されている核燃料サイクル・オプション論争の中で、永野隆雄氏と古川和男氏の論争も平行して進んでおります。以下は古川氏からの再反論です。ご参考まで。
願わくは、できるだけ建設的かつ冷静な(紳士的な!)ご議論を。新しい論客の登場を期待しています。
--KK
 
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EEE会議の皆様

 8月4日に「第3者」として核燃料サイクル論議に関する提言をさせて頂きまし
た。短文すぎて、意は通じなかったのかもしれません。現に、永崎氏が自分への反
論と思って、トンチンカン問答を仕掛けてまいりました。唖然として、一部には忠
告いたしましたが、全く話が通じない。  論議を矮小化する一方なので、放置し
様と思いましたが、EEEの皆様への責任は私が取らねばなりません。私が言い始
めたのですから。
 それえの対応は当然、本1冊は必要ですが、それはかなり慎重に最少限は済ませ
てあります。だから、云い始めたのです。拙著「原発革命」(文春新書)がそれです
が、殆んど全ての問題の骨子は触れています、私の考えに付いて包括的に。

 私には、今最も重要なことは次の2点と言っても良いかと思います。それを4日
に提示したのです。表現を換えて示して見ますと:
(1)豊田氏も一番重視しておいでの、プロジェクトに対する「責任所在」です。
日本の国政政策などは、何一つ未来に対する責任遂行姿勢が見えません。それが少
なくも「昭和史」だった訳です。核エネルギー政策が例外である筈がありません。
公的な報告書に責任者の名さえないのがあるのです。意図見え見えです。今、国会
をゆるがせている「事件」も噴飯ものです、笑い事でありませんが。

(2)U-Pu cycle は明らかに行詰っている。50年かけて遂に「燃料増殖サイク
ル」は見通しを立てきれなかった。今こそ改めてTH-U cycleを再考すべき最後の
チャンスである。我々は、その具体策を全部用意を終えている。一度冷静に(騙され
たと思って?)再考して損ではないであろう。−−−と言うことです。何事も終わ
ることはないのですが、現実は待ってくれません。もう時間が有りません。

 現状からの円滑な移行策もほぼ準備を終えています。その一つが、使用済み燃料
のFREGATE処理です。この要点は、拙著のP.136-7 に解説してありますが、粉化し
た使用済み燃料を、弗素ガス中で一気に弗化気化してしまう(flameーreactorとい
う)のです。基礎技術は南仏Pierrattで千トン規模の工場が動いています。 それ
をソ連がFBR燃料再処理用に発展させて総合プラントを70%まで完成させていまし
たが、ソ連が滅び消えました。我々は、また固体燃料に戻す困難を排除し、そのま
まの弗化塩をMSRに使うのです。またかなり汚い組成で充分で、廃棄物処理に有
利。水、有機物を一切使わず、臨界の心配が大きく消え、驚くほど小型単純になり
ます。 この仲間は皆、協力を約して呉れています。

 最近は、トリウム関連で米のGIF、NERIばかりでなく、南ア?の学者が「P
BMRではなく、MSRこそ究極の安全炉」と言ったとか。ロシア企業が、Th系
固体燃料を提案したとか(澤田氏の御知らせ)。既に10年位前から印度重水炉では
実用化していることであるが、固体では恐らくonce-through しかありえないのが
問題である。しかし、着実にトリウムへの関心が加速してきていると感じます。
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 私には、JNCが当事者能力があって言っているとは思えないのですが、それに
しては永崎氏の言うことは?? と思っていましたら、FBR開発をJNCで遣る
など反対らしい?ですね。彼の言っている事は皆様同意しておいでなのですか。
 無数にあるが例えば、「実験から直ぐに商業炉に入る」などの放言を放置して置
いて良いのですか? 一々、整理する必要はないのでしょうがーーー。

 だから、前もって少し話し合って水準を高めてから公表すべし、と警告したが、
「お話に来ていただくのは大歓迎」とは、mannerを心得ないこと甚だしい、正に
「若者」なのでしょう。いや私が老醜なのでしょう。
   後は、皆様に託したいのですが如何でしょう? もしお願いできましたら、
4日の提言を短文ですので軽く再読下さり、何かとご助言頂けませんでしょうか。
 
                                              古川 和男
トリウム熔融塩国際研究所
255-0003 神奈川県中郡大磯町大磯1029−5
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