EEE会議(エネルギー政策に関する小泉首相宛ての嘆願書)......................................................2003.8.20

元国立環境研究所長の石井吉徳氏(東京大学名誉教授)らを中心とする民間団体・科学技術連合フォ−ラムは、さる6月27日付けで、小泉首相宛てに「全世界石油生産はピークを超えた−国際政治戦略との関連―」と題する嘆願書を提出した由です。この文書の全文は添付ファイルのとおりですが、ご参考までに、同文書の最後の結論部分だけを以下に再録しておきます。なお、この情報は、当EEE会議特別会員の下浦 一宏氏(関西電力研究開発室)のご提供によるものです。--KK

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我が国は、化石燃料の殆どすべてを輸入に依存しており、次ぎの政策が必要と思われる。
(1) 石油、天然ガス確保の国際外交力発揮。
(2)  原子力発電技術力の維持向上と、アジア諸国の原子力発電建設・運転・安全への協調政策(産・学・官・政連携による国民的合意の形成)・原子力発電技術の持続、人材及び技術基盤の温存は不可欠。米国は1973年以来原発の建設無く技術力を喪失、日本も経済不況でその危機に直面しつつある。・先進国では、日本とフランスが技術ポテンシャル高く、両国の原子力技術同盟による強化と東アジア諸国への技術支援策が必要。・ウラン資源から放射性廃棄物まで、上流から下流までのバランスの取れた技術を目指す事。
(3) 輸送エネルギーに対して、陸上の新幹線等の鉄道技術のユーラシア大陸での活用政策を強化すべきである。
(4)  エネルギー源の転換は、長年月と多様・分散型の国家政策が必要で、家庭、企業、地域、国レベル夫々の地勢・生活環境に対応した選択が求められる。それは新世紀のエネルギー選択モデルともなり、特に途上国諸国の多彩なニーズに対する答えともなり得る。特に自然、再生持続可能エネルギーの積極的活用を国策として強力に推進する。産・学・官・政国民の石油エネルギーと産業、生活へのインパクトに関する情報を共有する機関の設置を望む。我が国は、総合的エネルギー戦略を構築する姿勢と中核的機関を欠いている。その中で、様々な対応への取り組みの発想が生まれ、将来の来るべき危機への準備がなさ黷驕B日本は島国という縄文時代からの閉鎖社会の中で、文化、技術で発展した独特の文明国である。この取組みは、日本の文化力、技術力という国際政治上のソフトパワーとして強力なカードとなり得る。全世界の人々が日本に学びに来るような体制を取ることは可能であり、それは必ずしも先端技術とは限らない、むしろ既存技術力の総合化で可能と言える。

内閣総理大臣閣下が国家半世紀戦略としてこの検討取組みを関係部局へ指示されることを期待いたします。

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この文書の全文は次のサイトでもご覧になれます。

http://ecosocio.tuins.ac.jp/ishii/opinions/koizum_oil.htm

(参考)小柴昌俊氏らによるITERに関する嘆願書
http://www.ne.jp/asahi/n/kinoko/noITER.html