EEE会議(Re: 核燃料サイクル・オプション論争:原子力未来研の意見とそれへの批判.................2003.8.25


当会議でEEE会議(Re: 核燃料サイクル・オプション論争:原子力未来研の意見とそれへの批判)は先般来、日本の核燃料サイクル政策について、あらゆる角度から再点検す
るための議論を継続中ですが、たまたま、月刊誌「原子力eye」が最新号
(2003Vol49No.9)において「どうする日本の原子力−混迷から再生へ−」という
テーマで、原子力未来研究会(代表:山地憲治東大教授)の意見を特集し始めまし
た。その第1回分「時代遅れの国策の下では原子力に未来はない」(同誌pp.49-55)
について、永崎隆雄氏が早速、その主要点を紹介しつつ、それに対する批判的コメン
トを書いて下さいました。

既報の通り、当EEE会議でも、目下特別のタスクフォースを設けて、これらの問題
に関する皆様のご意見(これまでに当会議で表明されたものを含む)をとりまとめ、
緊急政策提言のような形で公表したいと考えておりますが、この永崎氏のメールもそ
の作業に資するものではないかと存じます。 皆様方の更なるご議論を期待します。
 --KK

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 下記の特集が「原子力eye」に掲載されていました。

 どうする日本の原子力−混迷から再生へ−[NO.1] 時代遅れの国策の下では原子力
に未来はない(原子力未来研究会  原子力eye 2003Vol49No.9)

 現状の原子力の諸政策に対する過去の提言とその今回の評価、今回の新提言があり
ました。わが国の原子力政策に挑戦する提言がありました。当EEE会議での豊田様
の論点とほぼ同じ論点が述べられています。この問題について真剣に考えることは非
常に大切なことと思いましたので、少しコメントさせていただきます。本コメントは
私の調査不足もあり、未熟で誤解や独断もあると思いますので、皆様のご意見を頂け
たら幸いです。

 この原子力未来研究会の主要論点は以下の通りです。

 1 価値基準は経済性と核不拡散を重視し、米国民主党のワンススルー政策(使用
済燃料の直接処分)に近いが

 2 高速増殖炉FBRの核燃料リサイクルの可能性は否定せず、技術開発路線と
し、将来に実用化を期待

 3 再処理プルトニウムの軽水炉リサイクルは経済性が破綻。地元問題、プルトニ
ウムの不拡散問題もあり、原子力の国策「使用済燃料の全量再処理」を変更し、六ヶ
所再処理工場は中止し、使用済燃料は発電所サイト、中間貯蔵所に貯蔵すべき。

 これに対する私のコメントの主要論点は以下の通りです。

 1 価値基準はわが国のリサイクル社会、高付加価値技術産業立国の建設 、わが
国と世界経済の持続可能発展。

   環境とエネルギーセキュリティーの社会要請を経済性の市場競争原理の下に実
現しなければならない。

 2 高速増殖炉FBRの核燃料リサイクルは前記、わが国の目指す社会を創る重要
な高技術産業であり、実用化の期間を短縮し、コストを低減するため、事業主体との
開発一体化を早期に進めるべきである。

 3 再処理プルトニウムの軽水炉リサイクルはコストが直接処分より少し高くなる
かも知れないが、水力や石油火力に比べるとはるかに安く、わが国を高付加価値産業
・高速増殖炉リサイクル社会の持続可能発展へ導く重要なステップであるので中止す
べきではない。

 

 以下に原子力未来研究会の個別提言に対するコメントを記す。



前回提言1

FBRは世界のエネルギーの将来に対する「選択肢の一つ」であり、わが国の理想の
国産エネルギーを提供する「夢の原子炉」ではない。現在の実証炉計画は白紙の戻
し、FBR開発は「技術継承」と革新性を重視した開発路線に転換すべきである。 

今回評価

 FBR開発は提言の方向で進展。核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所の統廃
合問題の中でこれからの研究開発体制作りに注目しなければならない。


コメント1

1. FRBは米国の第四世代炉開発計画GWでも候補に上がっている世界の将来エネル
ギーの候補である。

2. 無資源国日本にとってはやはり夢の原子炉であり続ける。


3. 実証炉計画は、その時間計画がなくなったが、取り下げられたわけではない。
市場原理に則り、実用化を進めるということであり、市場に受け入れられるかどうか
は、開発者の挑戦と国の適切な誘導制度下での市場競争による。


4. 技術だけを50年間も研究開発で継承発展させる事は、資金が膨大にかかり、困
難。統合法人と初期事業化を担う民間企業とで実用化の事業体を作り、早期に実用化
・商業化し、市場と密着して技術を発展・継承させるほうが経済的で、現実的であ
る。


5. 初期の経済的不利は国の無利子融資や優遇税制で資金的に支援する。

前回提言2

使用済燃料貯蔵は核燃料サイクルに柔軟性を与える重要な政策オプションであり、緊
急時対応として受動的に位置づけるべきでない。貯蔵後のオプションとして、再処理
だけでなく、使用済燃料の直接処分の可能性を確保できるよう研究開発を開始すべき
である。

今回評価

具体的中間貯蔵施設の立地が進んでいるのは歓迎すべきだが、直接処分について相変
わらずタブー視が続いている。


コメント2

1        使用済み燃料は数%の核分裂性生物FP(廃棄物)の他、ほとんどがウラン
やプルトニウムの燃料である。再処理し、FP廃棄物を分離・減量し、ガラス固化で安
定させるとともに、ウラン・プルトニウムは再利用すべきである。


2        再処理とプルトニウム利用の事業が軌道に乗るまでは貯蔵する。


3        米国も直接処分といっても再取りだしやウラン回収再処理等を検討し始め
ている。


前回提言3

プルトニウム問題は核軍縮・不拡散を巡る国際情勢と密接に関係している。余剰プル
トニウムの削減のため、再処理計画を所与とした「供給ありき」を前提とする従来の
政策から、プルトニウム需要に合わせて再処理を行う政策に転換すべきであり、六ヶ
所再処理施設の計画は再考する必要がある。

今回評価

ホット運転に入る前に中断して計画を再考するよう警告。事態は混迷を深めるばか
り。


コメント3

@ 原子力委員会は再処理に当たってはPuの明確な利用計画の提示を求めている。
即ちPu利用計画(=需要)のない再処理は許可しないと思う。


前回提言4

放射性廃棄物は、原子力問題として特別視せず、健康・環境リスク問題として一般の
有害廃棄物と整合的に扱うべきだ。廃炉廃棄物対策など時間的に優先度の高い課題に
早急に対処する一方、高レベル廃棄物処分には十分な時間をかけて、幅広い選択肢の
中から民主的なプロセスを重視して政策を絞り込むべきである。

今回評価

処分体制が整ったが、実態としては何も進展していない。


コメント4

放射性廃棄物を一般有害廃棄物と整合的に取り扱うべきとの提言は賛同する。


廃炉廃棄物対策は


1        廃炉解体は巨大な廃棄物が発生するので、有効利用を考えるべきである。

(例)数十年、建屋ごと密封し、放射能を1/100位に減衰させた後、廃棄物貯蔵庫
等に転用する。

スリマイル発電所や、チェルノブイリ発電所の後処置も参考。

2        新しい施設解体処分の裾切り基準や構築物リサイクル法を定め、極力利用
する


高レベル廃棄物は


1        国民の原子力推進理解を得るため、早く立地等の目途をつける。

2        処分法については国の環境安全基準、政策基準の下、各種選択枝を審査評
価し、受け入れ自治体の了解を得る。

3       受け入れ自治体の公募入札制等、市場原理により、民意を吸い上げる。



前回提言5

規制緩和の潮流の中で原子力が生き残るためには、燃料サイクル・バックエンドの不
確実性を切り離す必要がある。既存軽水炉の寿命延伸と標準化の徹底によって他電源
に対する原子力の競争力を高めるとともに、民間の力を超えた経済リスクには国が一
定の責任を持てるように制度整備を行う必要がある。


今回評価

電力自由化は難問過ぎて手が付けられなかったようだが、漸く今年の後半当たりから
議論が本格的しそうだ。この問題は再処理問題と不可分に結びついている。


コメント5

原子力が生き残り、社会に受け入れられるためには、

環境とエネルギーセキュリティーの社会要請を経済性の市場競争原理の下に実現しな
ければならない。そのためには


1        電力自由化と原子力の規制緩和によって電力業界に競争原理を導入し、経
済性を改善し、活力を出すとともに、

2        国は税制等で我国のリサイクル社会構築と言う国策を誘導する。

環境税制や電源開発促進税制、研究開発減税を定め、環境コストを負担しない使い捨
て方式や炭酸ガス放出に正当な環境コストを支払いさせ、リサイクル方式によるコス
ト増大を補償する。

民間の力を超えた経済リスクの国の責任については

1        廃棄物処分費用は発生者負担の原則で対処するのが発生量の抑制に良い
が、

2        民間の力を超えた長期の無限責任は国が負い、民間の責任は有限とすべ
き。

原子力の競争力の増強には


社会環境競争力、企業の技術競争力を増強し、コスト競争に勝つことが重要。

1    社会環境競争力の増強

既設炉の寿命延長の他、設備保守の平準化による稼動率の向上と費用節減

2    技術競争力の増強

安価な(現状の1/2価格)第3世代炉ABWR、AP1000等の導入

半永久的資源U238の燃料(Pu)転換利用技術の開発導入

 1)現状軽水炉でのプルトニウムリサイクル(プルサーマル)

2)第4世代炉高速増殖炉サイクル


バックエンド(廃棄物と施設の処理処分)費用低減には

1    原子炉や核燃料施設の寿命延長

2    燃料の高燃焼度・長寿命化

3    再処理の低レベル廃棄物のリサイクル化等低減

4    MOX工場の自動化安定操業

 等

前回提言6

原子力発電所の立地プロセスは制度疲労に陥っており、政治的思惑に翻弄されてい
る。新規立地点の発掘に焦点を当て、地方分権・規制緩和の動きも踏まえて、地元市
町村の役割強化の基本方向の下、地域支援寄付金制度の創設や地元自治体が自ら卸発
電事業者となることなど、新たな立地体制を検討すべきである。


今回評価

相変わらずだが、地域の主体性を増す方向での変化も見られるのはよい兆候だ。


コメント6:

 立地プロセスについては

 1        原子力発電所の地場産業化税制(電源促進税の一部地方税化)

 2        発電企業の地方化(発電所の分社地方企業化と法人住民税の支払い)


前回提言7

平和利用と軍事利用に境界線が引けると言う前提の下、「わが国の原子力平和利用を
守る」ことを目標としてきたこれまでの原子力外交は転換しなければならない。KE
DO(朝鮮半島エネルギー開発機構)プロジェクターの推進や使用済燃料対策の確立
などの地域協力、核不拡散でリーダーシップを発揮することが求められている。


今回評価

もともとそう簡単に片付く問題でもないのでもう少し長い目で見守るほかあるまい。


コメント7

原子力外交の転換は

1    核不拡散の世界貢献という負面の低減だけでは世界の支持が得られない。

2    世界の持続発展を達成する原子力システム構築という正の貢献が必要で、核不
拡散を調和させるシステムを構築する。

例)我国がエネルギー需要の小さい国の使用済み燃料を再処理し、核拡散抵抗性のあ
る燃料にして供給する等。


注)高速炉燃料サイクルパーク構想

 使用済燃料の再処理と高速炉(4〜6基約6〜9百万KW)を同一敷地内に統合連
結し、

1    経済性を挙げ

2    核不拡散性を上げる

1)わが国パーク施設を少数に限定、管理を集中強化

2)Pu単体分離をしない(使用済燃料中の核分裂生成物のみを分離除去)

3)殆どの再生燃料はパーク内でリサイクル使用し、パーク外に出さない。

4)施設外に輸出する再生燃料は人工衛星監視。

5)燃料に超ウラン元素や一部FPを含有させ、窃盗されても転用困難化。


前回提言8

新しい原子力政策の方向性は、総合エネルギー政策の下への統合、政策決定の透明性
の確保、地球的視点からの長期ヴジョンの提示に整理できる。この基本方向に向け
て、原子力と国家と市民の新たな関係を構築しなければならない。


今回評価

もともとそう簡単に片付く問題でもないのでもう少し長い目で見守るほかあるまい。


コメント8

原子力政策の方向性は

1    エネルギー政策(国内エネルギーの確保)だけで捉えずに、

2    原子力発電の輸出や放射線利用や有用放射性元素利用等の産業政策

3    加速器による基礎物理・生物・科学知見の発見等の学術文化政策

などの総合国力政策として捉えるべきである。

 プルトニウム利用はエネルギー利用だけでない新たな有用放射性元素利用産業の扉
を開けるものである。

今回提言9 新たな問題

 原子力のガバナンス:推進側と切り離された独立した実効性のある安全規制体制の
構築の必要性


コメント9

1   我国は原爆被爆国であり、原子力基本法で、平和利用を担保する非核三原則を
持つ国で、そのためのガバナンスは原子力委員会が責任を持つ。

2   現行の国による原子力安全ダブルチェック体制と自治体によるチェックの三重
チェックは、事業者に過度の負担と時間の浪費を来たしている。

3    長年の安全実績を踏まえ、システムの簡素化、手続き時間短縮化を図るべき。

提言10 我国の国策の現実

1    最終目標は核燃料サイクルの確立による増殖炉の実用化で1967年以来不変。

その後の長計は手直し程度の変更。

2    1967年時前提とした我国経済は、その後の石油危機を経て、安定成長へ構造変
化した。これに追随できず、過大なエネルギー需要見とおしに翻弄された。

3    米国を中心とする世界的な原子力開発環境の急速な変化を十分理解しなかっ
た。

米国 1983年 FBR原型炉中止、バーンウエル再処理工場放棄

独  1989年  バッカースドルフ再処理計画中止、1991年FBR原型計画放棄

仏  1983年 全量再処理方針見直し、1998年スーパーフェニックス閉鎖

4    国策の成果の現実を直視しなかった。国策は行き詰まっている。

1)       東海再処理は運転20年経過で、当初期待処理能力の5年分以下の1000t処
理。

2)       六ヶ所再処理工場は1200d/年建設費6900億円が800d/年2兆円超に、
着工は当初運転開始予定より三年遅れ、着工から10年たって運転開始に到っていな
い。

3)       新型転換炉の実証炉は経済性の点から建設中止

4)       FBR原型炉もんじゅはナトリウム漏れ事故を受けてFBR実証炉計画は白紙
に戻され、

5)       プルトニウムリサイクルはほとんど進まず、使用済み燃料は大半が使用
されることなく蓄積されている。(17000d中海外と東海で再処理されたもの
6600d、発電所サイト六ヶ所再処理サイトに貯蔵されているものが10000d。)


コメント10

最終目標、核燃料サイクルと増殖炉実用化は不変。

政策変更する新事実がない。

@石油も、ウランも将来、枯渇するという事は変わっていない。

A経済成長が安定成長になってもエネルギー消費はなくならない。

B増殖炉に変わるものも見つかっていない。

 米国等の政策変更

@一時的で現在、米国ではサイクルが見直されている。

 国策の行詰り

 @プロジェクトの遅れ、費用の過大化は実用化を遅らせているが、

資源の枯渇と高騰時期も後ろに延びたので、開発に裕度が出ている。

Aプルトニウムリサイクルはほとんど進まずは言い過ぎ。

ほぼ39%の使用済み燃料6600dが再処理され、リサイクルをまっている。

提言11 六ヶ所再処理工場の経済学

@再処理工場建設費 800d/年  2.2  兆円

A長期借入金           1.05 兆円

B資本金             0.17 兆円

C前払い金            0.7  兆円 (貯蔵中10000トン当たり)

D再処理引当金残高(6割)    2.5  兆円 (貯蔵中10000トン当たり)

E利子税金           500億円/年

F運転費(1億円/1トン)   800億円/年

G原価償却(15年償却)    1500億円/年

H15年間の総事業費  4.15兆円=2.2兆+(500億+800億)×15年

  約12000d処理

I現在想定していない費用  合計 5.2 兆円

 TRU廃棄物処理処分費用12000d当たり2.8 兆円=3.4兆×(12000d/14700d)

 ホット運転後の再処理施設   2.4 兆円

J15年で事業終了時 バランス

 総事業費 9.35兆円=4.15兆+5.2兆

 折込済み 4.2兆円=2.5兆円/0.6

 未調達  5.15兆円

K30年で終了時 バランス 24000d

 総事業費 約 14 兆円=9.35兆+(800億+500億)×15年+2.8兆

 更に5兆円近い資金調達が必要


 六ヶ所再処理工場は経営的に破綻している。


コメント11

想定外費用

本評価は電事連の正式評価では無い。以下のように過大評価しているし、また1KW
h発電量当り単価にするとそれほど大きな値とはならない。

1    TRU廃棄物(主にハル)の処分費用は過大評価である。下記(参考)を参照

OECDの評価はこれらの中低レベル廃棄物は再処理費のほんの僅かと報告している。

深地層処分に必要な面積は、TRUはガラス固化体高レベル廃棄物の約1割と少な
く、費用もわずか。(ガラス固化体高レベル廃棄物処分費用は約0.055〜0.2
7円/KWhでTRUはその1/10程度 0.0055〜0.027円/kwhと
推定される)

2    再処理施設の解体処分費用は過大評価である。

BNFL評価(OECD・NEA報告)では解体除染処分は建設費の30%(運転後20年
の貯蔵後、7年で解体)。わが国の場合は2.2兆円×30%=0.66兆円になり
ます。30年運転後解体としたら、再処理t当たり費用は6600億円÷(800t
U×30年)=0.275億円/tUで発電量当たりは0.275億円÷70億kw
h=0.004円/kwhに過ぎません。

スリマイル発電所や、チェルノブイリ発電所の後処置も参考。

3 施設転用の裾切り基準や構築物リサイクル法を定め、極力利用する。

(例)数十年、建屋ごと密封し、放射能を減衰させた後、表面を除染、被覆塗装し、
貯蔵庫等に転用する。


(参考)

フランスUP3での長寿命廃棄物発生(l/tU処理)OECD・NEA報告

                 元の仕様   2000年までの改善予想

ガラス固化体(高レベル廃棄物)   130   115

その他(主に使用済燃料被覆管)   2920  <350(超圧縮処理等)

合計            3050  <465

深地層処分場の所要面積比較(JNC地層処分2次取りまとめ等より)

1)再処理の場合       処分場面積

ガラス固化体        1

その他TRU廃棄物     1/10(発熱量等が低いため)

   2)直接処分          2〜4倍(河田論文)

提言12 新たな提言

以下より、国策の変更が不可欠

1)       プルサーマルは経済的利得を電力会社に生まない。

2)       今のところPuに経済価値はない。

3)       再処理問題には地域政治と電力経営と国策の複雑な三体問題があり、こ
の解消には従来国策路線「全量再処理して核燃料サイクルを確立する」の変更がまず
不可欠。

4)       民間経営感覚、国民経済的コストから考えて、六ヶ所工場は中断し、損
失低減するのが妥当

5)       使用済燃料貯蔵を中核とする現実的で合理的な政策に舵を取れば、軽水
炉による原子力発電は電力自由化下でも推進可能。

6)       行き先を失う使用済み燃料はまだ6000dほどの余裕のある全国の発電所
サイトの貯蔵容量、六ヶ所や諸外国の貯蔵設備を活用し、国内の中間貯蔵施設運転開
始までの間をつなぐ事は不可能ではない。

コメント12

1)       プルサーマルは将来の我が国にエネルギー自立と環境安全と言う利益を
導き、我が国を持続発展させ、電力会社に持続可能な利益を生む。

2)       プルトニウムは核燃料と言う経済価値を持つだけでなく、U238と言
う膨大な未利用資源を有用資源に変える重要な鍵物質である。

3)       国策をふらつかせては立地自治体の信頼を失い、問題をより複雑化させ
る。

4)       民間経営者は六ヶ所工場を運転もせずに中断する経営感覚を持っていな
い。

損失は適切に会計処理され、赤字として減税され、償われる。

5)       貯蔵路線は現代世代の利益を第一とするもので、将来に対する投資が無
く、将来世代に不確定のリスクと負担を残し、将来世代が貧窮する。

6)       貯蔵路線ではサイクル技術は発展せず、我が国を高付加価値の産業立国
へは導かず、我が国の衰亡とともに電力会社は滅亡する。

以上