EEE会議(北朝鮮核問題と解決のシナリオ: 共同通信の記事).......................................2003.8.25


明後日から北京で開かれる北朝鮮核問題に関する6か国協議を前に、内外でいろいろ
な憶測が飛び交っておりますが、憚りながら小生も北朝鮮問題を過去20余年フォ
ローしてきた者として、時々マスコミで発言を行っております。昨日共同通信社から
次のインタビュー記事が流れましたので、あまり詳しい内容ではありませんが、ご高
覧に供します。ご参考まで。 --KK

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2003.08.24

「核問題こう見る」―金子熊夫・前東海大教授

◎大きな進展は期待できず  見られぬ中長期的シナリオ

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議について、北東アジアに非核地帯を創設する構
想を長年提唱してきた元外交官で前東海大教授の金子熊夫氏に聞いた。(共同=栗田
裕康)

 ―六カ国協議をどう展望するか。

 「北東アジア全体の安全保障につながる一歩を踏み出せればいいが、中長期的なシ
ナリオがほとんど見られず、大きな進展は期待できない」

 ―中長期的なシナリオを具体的に挙げると。

 「北朝鮮が固執する米国との不可侵条約は実際には北朝鮮のためにならない。米国
は政権が代われば政策ががらりと変わる。しかし六カ国に英国、フランスなどの核保
有国、モンゴルなどを加えた多国間の条約にすれば米国も簡単にはほごにできない。
核不使用や不可侵に経済援助なども組み込んだ地域の総合安全保障条約を目標にすべ
きだ」

 ―北朝鮮が求める金正日体制への「保証」が焦点になっているが。

 「北朝鮮の現状は第二次大戦末期の日本に似ている。当時、日本政府が国体護持を
最優先に訴えたように、金正日体制の存続一点にこだわっている。拉致をする敵国の
ような国に塩を送るべきではないという議論はあるだろうが、北朝鮮が安心できるよ
うな保証を与えない限り、核を手放させるのは難しい」

 ―日本が取るべき対応は。

 「最近の報道では、北朝鮮に不可侵を確約することで核抑止力に支障が出ないよう
日本政府が米国に求めたというが、本末転倒だ。日本が核カードにしがみついていな
がら、北朝鮮だけに核を放棄しろというのは筋が通らない。核を前提としない地域の
安全保障政策をつくらないといけない」

 ―日本の核武装論も台頭しているが。

 「日本の核武装は米国が認めないし、中国が黙っていない。北朝鮮だけでなく中国
を相手に核軍拡を競い合うような能力は日本になく、危険極まりない。米国の核抑止
が頼りにならなくなれば独自の核が必要、という議論に実益はない」

          ×   ×   ×

 金子熊夫 1937年生まれ。61年外務省入省。原子力課の初代課長や日本国際
問題研究所研究局長などを歴任。東海大教授を経て外交評論家。