EEE会議(Re:エネルギー基本計画案に対する意見).................2003.8.27

 
エネルギー基本計画案」に対するコメントを、池亀 亮氏(EEE会議特別会員、元東京電力副社長)が提出されました。ご参考までにお目にかけますので、他の皆様も、このような要領でどしどしコメントを提出されるようお願いいたします。8月28日が締め切りです。 --KK
 
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----- Original Message -----
From: ttn4vzd252@mx2.ttcn.ne.jp
To: kkaneko@eeecom.jp
Sent: Tuesday, August 26, 2003 5:54 PM
Subject: エネルギー基本計画案に対する意見

件名:「エネルギー基本計画案に対する意見」

1. 氏名(フリガナ)池亀 亮 (イケガメ リョウ)

2.連絡先

 

住所   〒104−0051
東京都中央区佃2−1−1−4806

電話番号
03−5547−2581

その他連絡先(電子メール、ファックスなど)
E-メール rikegame@mx2.ttcn.ne.jp

3.職業/所属
無職

4.意見の概要(100字以内で記載)
(1)エネルギー需給に関して今後、どのエネルギーに政策の重点を置くかを判りやすく国民に示すべき。(2)核燃料サイクルに関する国の責任を明確にするために、使用済燃料を国が引き取る方策を検討すべき。

5.意見及び理由(本文)
(1)
エネルギー基本計画はエネルギー政策基本法の規定に基ずき、今後10年程度を見通してエネルギー需給に関する施策の考え方を示すもので、定量的な需給バランスを示すものではないと説明されているが、少なくとも、基本計画は需給バランス計画を作製する時の基礎となる考え方、即ち、なぜ、どのエネルギーにどのくらいのウエイトを置くかをを判り易く国民に説明する必要がある。原案では、各エネルギー夫々の特徴についての記述はあるが、総括的に政策の重点をどのエネルギーに置くかを示す記述がない。例えば、エネルギー自給率の目標、京都プロトコルに基づくCO2排出量削減等について各エネルギーに期待される寄与度等について具体的に記述する必要がある。また、石油だけを独立した節で扱うのは石油を他のエネルギーよりも重要視しているという誤解を与えるので、ガスや原子力と共に同じ節で扱うべきである。

(2)電力自由化と核燃料サイクルとの両立については、第2章第3節、1(5)に記述があるが、自由化の進展に伴って核燃料サイクルに関する諸事業が民間事業者の手に負えなくなっていることについての認識の不足が憂慮される。     今日焦眉の急は、自由化に当たって再処理とそれによって生み出されるプルトニウムの処理をどうするかという課題である。リサイクル路線を維持するにせよ、変更するにせよ、バックエンド処理方策の選択は国の責任であり、バックエンド事業に伴う不確実性は大きく、投資の回収が保証されない競争市場で民間事業者にリスクの負担を求めることは不合理である。国の政策に伴うリスクは最終的に国が負うべきものである。                   再処理とプルトニウムだけでなく、使用済燃料の中間貯蔵、HLWの超長期管理等、使用済燃料の処理に関する事業は全てコストが不確実でリスクが高いだけでなく、最終的な国の最終的な引き取り保証なしには遂行出来ない。しかし、原案には国の最終的な責任と保証の必要性に論及している個所が見当たらない。                                 核燃料サイクルに関する国の責任を明確にする最も簡明で包括的な方策は使用済燃料を国が引き取る米国方式である。使用済燃料を国が引き取るとしても、バックエンドの各事業は民間企業に委託することが効率的かつ実際的である。過去の経緯もあろうが、核燃料政策を推進する観点からこの案の検討を求めたい。

(3)地方公共団体の役割について原案の趣旨に賛成である。新聞報道によると、某県知事がこの計画の基となる基本法が設置県の参加なしに決められたので、本計画に拘束されないと言っているようだが、基本法は全国の選挙によって選出された国会議員によって国会で議決されたもので、県知事も尊重する義務がある。中央と地方の関係を正す意味からも国の毅然とした対応を望む。