EEE会議(Re: 北朝鮮核問題と日本核武装論)............................................2003.8.30


昨日(8/28)標記メールにより、北朝鮮核問題の解決策に関する私見(北東アジア安全
保障条約構想)をご披露させていただきましたところ、早速、森島茂樹氏(特別会
員)から、次のようなコメントをいただきました。ご参考まで。 森島氏のコメント
に対する小生の補足コメントは「後記」をご覧下さい。 --KK

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「北朝鮮問題:北東アジア安全保障条約こそ鍵」を見ました。
書かれているように、
1.「銃を持って建物に篭もっている誘拐犯に・・・・・・いくら交
渉しても前には進まない。」と仰る点には全く同感です。
2.「検証可能な核兵器放棄計画を北に認めさせても、国際査
察によって、担保する事は不可能。」と仰る点も同感です。
3.しからば、「北が、自らの意志で核廃棄を選択する様に持っ
て行くしかない。」もその通りと思います。

しかし、その為に北に「体制保証」を与えるのはどうかと思います。
此の体制のままだと、日本への拉致家族は返すと思いますが、多
くの北の人々の安定生活は得られるでしょうか?
現体制が勝ったと歓び、更に横暴な態度をとり(従来の北の対応
を見れば判る)六カ国条約では、北の人々の安定と、それによる
世界の人々の本当の安定は簡単には見え無い気がします。
外交問題に素人の詰まらぬ見方です。 宜しく。

        森島茂樹

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<後記>

ご指摘の点は誠にご尤もで、小生自身もこの点が最も心に引っかかる点です。しか
し、いかに不愉快、不本意であっても、結局「現(金正日)体制保障」を与える以外
に核問題の現実的かつ抜本的な解決策はないだろうというのが、小生の長い間かかっ
て出した結論です。 また、核問題の解決と、北朝鮮の一般国民の生活安定は当面区
別して考えるべきだろうと思います。

6ヶ国安保条約(またはそれに代わる適当な地域条約方式)により、北東アジア地域
の安全保障環境が改善すれば、北朝鮮も早晩改革開放に向かうでしょうし、その結
果、内部から徐々に変わってゆくでしょうから、周辺国としてはそれを気長に待つ以
外にないのではないか、またそれを外部から適宜助けて行く以外にないのではないか
と思います。 金正日体制が外部からの圧力で崩壊する可能性は少ないし、他方軍事
的制裁や先制攻撃で無理矢理に潰してしまえば(それができれば当然ベストでしょう
が)、その後遺症や後始末も大変です。現在のイラクをみれば大体見当がつくでしょ
う。 

もちろん、日韓が相当泥をかぶる、場合によっては、かなりの返り血を浴びる覚悟が
あれば結構ですが、今の日本に果たしてそれだけの覚悟があるかどうか? 米国も、
(イラクと違って)石油も出ない北朝鮮にそれだけの犠牲を払うかどうか? 

要するに、「ハード・ランディング」より「ソフト・ランディング」の方が多少いい
だろうということで、どちらもプラス、マイナスがあります。日本としてどちらを選
択するかが問題で、この際短期的な問題(敢えて拉致問題もその範疇に含める)よ
り、長期的な視点で考えるべきではないか、というのが小生の考えです。古巣の外務
省の肩を持つつもりはありませんが、現在の小泉政権(とくに安倍官房副長官ら)の
姿勢は世論迎合に失し、大局を過つ惧れありと考えます。 

更なるご議論、ご批判を歓迎します。 -KK