EEE会議(もうひとつの北朝鮮政策:制御と誘導)............................................2003.9.1


北京での6か国協議は終わりましたが、北朝鮮問題の危険性は一向に変わったように
は見えません。北は核実験を実施する可能性をもあからさまに示しています。このよ
うな北朝鮮問題に今後日本はどう対処すべきか? ストックホルム大学アジア太平洋
研究所長の池上雅子氏(EEE会議特別会員)のご意見をご紹介します。ご参考まで。
--KK
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北朝鮮核問題に関するサイトをサーファーしていて以下のサイトに行き当たりまし
た。IAEA議長も務めた韓国の核物理学者の警告で、北朝鮮、韓国、日本、台湾の核兵
器開発能力を科学者の目から相当正確に把握されているようです。また、これまで米
国人など幾人かから、米国と中国がお互いに台湾と北朝鮮をバーターする形で水面下
で交渉しているという話を聞いたことがありますが、この点もこのインタビュー記事
は明快に説明してます。北東アジアに核兵器開発の連鎖反応という恐ろしい事態が起
きぬよう、誰しもが知恵を絞らねば、と思います。


http://www.infovlad.net/underground/asia/nkorea/ref/nuclear_MonthlyChosun_ap
r2003.html

因みに、手前味噌で恐縮ですが、最近学術文庫モノグラフシリーズ日朝会談
(http://www.smallworld.co.jp) で出版した拙論「もうひとつの北朝鮮政策:制御と
誘導」では、北朝鮮の核兵器開発はもはや単なる外交交渉のカードという次元を超え
て、万難排して開発配備するという次元に達しているという見解を、NPT体制の危機
とも絡めて論じました。6ヶ国が暫定的に北朝鮮の安全を保証しても北朝鮮が核兵器
査察を受け入れない場合、経済制裁も避けられない情勢ですが、この場合、特に中国
・韓国の同意を得ていかに堅固な国際協調態勢で臨むかがポイントになると思いま
す。人によっては smart sanction と呼ぶでしょうが、挑発性の少ない「制御と誘
導」(現体制と苦しむ北朝鮮の一般人とを峻別する)の方法を編み出すことが必要だ
と思います。

池上雅子
Director, Associate Professor
Center for Pacific Asia Studies (CPAS), Stockholm University
Office E-mail: masako.ikegami@orient.su.se, Fax: +46-8-168810