EEE会議(原子力論議における「公開性」について:岩田教授の意見)..............................2003.9.14


先日(9/7)、原子力未来研究会(代表:山地憲治氏=東大教授、EEE会議会員)による
論文の月刊誌「原子力eye」での連載が途中で突然中止となった件についてお伝えし
ましたところ、この問題に関連して、岩田修一氏(東大教授、EEE特別会員)よ
り、次のようなメールをいただきました。原子力問題に関する報道のあり方、あるい
は、オープンに議論するということ(公開性)に関して、示唆に富むものと存じま
す。ちなみに「Science」は国際的に著名な科学雑誌で、米国科学振興協会(AAAS)に
より
発行されているものです。日本語版の要約(一部のみ)は
http://medical.tanabe.co.jp/public/science/index_science.shtml
で見ることが出来ます。
--KK

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必ずしも適切な比較ではないかもしれませんが、「原子力eye」の考え方と
「Science」の成熟度、ポリシーの違いを判断するための
1つの情報をお知らせします。

下記のpdfファイルは、ICSU(International Council for Science:国際学術連
合)会長の
Jane Lubchenco教授と連名で9月12日発刊のScienceに発表した声明です。
WSIS(World Summit on the Information Society)を機会に、人類にとっての科学技
術(データ)の役割を考え、適切なアクションにつなげたいと考えて、科学者が責任

果たすよう呼びかけたものです。
初稿の段階では入っていた”Open Access”ということに関しては、Editorや関係者

のやりとりの中で、先端情報に関わる知財権、ナショナルセキュリティーに関する
議論の現状を判断し、また「Science」自体が情報ビジネスを展開していることもあ
り、
与えられた紙面(たったの1ページ)で今回の議論のポイントを維持することを目的

下記の最終稿からは削除しました。

http://www.icsu.org/Library/Central/Otherpub/Science_Editorial.pdf

しかしながら「Science」の下記のHP(登録すれば誰でもこのレベルまでは見られま
す。)を眺めてみますと、議論をオープンで活発かつ生産的にするための様々な
仕掛けが準備されており、学ぶべき点は多いと思います。範囲は違いますが
「Science」も「科学者の業界誌」で、社会との関係の中で原子力のことを見るべき
「原子力eye」との本質的な違いはないと思います。

http://www.sciencemag.org/cgi/content/summary/301/5639/1443#affiliation

配慮しなければならない点は多数存在しますが、「何が大切か」を何時も問い直す
ことだと思います。

        岩田修一