EEE会議(Re: 原子力二法人統合報告書(案)に対する奥出、澤井両氏のご意見)........2003.9.14


標記に関する報告書(案)に対し、奥出、澤井両氏(いずれもEEE会議特別会員)
が提出されたコメントをまとめてご披露します。
なお、本件意見提出の締め切りは9月16日(火)につき、できるだけ多くの方々が
ご意見を提出されるよう希望いたします。
--KK
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1. 氏名: 奥出 克洋 (オクデ カツヒロ)
3.職業:    コンサルタント
4.報告書(案)の該当箇所:全体
5.意見:

「原子力二法人の統合に関する報告書(案)」では、冒頭に「(既存の原子力二
法人を廃止した上で、)統合し、新たに原子力研究開発を総合的に実施する独立
行政法人を設置する方向で、・・・」と述べられている。

研究開発は、本来、新たな知的財産の創出を目的としたものであり、それは即、
社会的価値の創造であり、その創出された価値は研究開発費の出資者に帰属
すべきものである。
本報告書のいたる所に、新法人に対し、その研究開発行動の成果に付き、「貢献
することが望まれる」、「支援することが望まれる」と書かれているが、これは
「国民の税金で賄われた研究開発から創出された知的財産なので、一般国民に
当然還元されるべきもの」であり、研究開発費の出資者、研究開発者、
創出された価値、或いは創出された知的財産の所有権、守秘義務等の一般的な
社会通念から言って、適切な記述とは言い難い。
「4.(2)G研究成果の普及とその活用の促進」の項で、「開発段階からの
産業界等その成果の利用者との連携を密にし研究開発を実施する・・・」、「・・・
民間事業者による成果の活用を促進する事が必要である。」、と述べられて
いるが、民間事業者の常識としての、知的所有権の確立、と帰属、研究開発
資金の出資者との関係、知的財産の使用料金、守秘義務、秘密の開示、等、
知的所有権に関連する事項が、明確に定義されない限り、原子力委員会の期待
する「我が国が科学技術創造立国を目指す中の原子力科学技術の研究開発の
尖兵、或いは中枢としての地位」は望むべくも無く、従来通りの、研究発表
専門の組織から、脱却出来ないのではないだろうかか。
日本人は兎角、知的所有権に対する認識が薄いと言われて来ているが、この際
国民の教育、啓蒙を司る 文部科学省 として、「一般国民の税金で賄われて
創造された価値、乃至は知的財産が、有効に使われる新法人が生まれる事」
の意義が、一般国民に周知徹底されるような表現に改めて頂きたい。
                           以上
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@ 氏名    澤井 定
A 所属組織  ペスコ
D 報告書(案)の該当箇所 (P-21, 5行目〜14行目、P-26, 8行目〜9行目、P-5,
17行目から18行目)
E 御意見

  「プロジェクト研究開発」に関する意見

  原子力システムの「プロジェクト研究開発」記述に、以下を考慮して頂きたいと
思います。

1.内外に貢献できる「プロジェクト研究開発」を、地元と関係機関の協賛の下、
チャレンジ精神で実施する。 
  原子力システムの「プロジェクト研究開発」は、地元と関係機関の協賛が大切
で、世界の上を行く開発目標・世界に特長ある開発構想を掲げることが肝要と考えま
す。これにより、実施者の研究開発意欲は高揚し、内外に貢献でき、さらなる発展が
期待されます。「プロジェクト研究開発」に伴うリスクは、それを克服する論理と研
究開発を基に、チャレンジ精神で乗り越える。

2.「プロジェクト研究開発」は実用化へのロードマップを構築し、その実現を目指
し、民間と相携えて進める。
  国が実施する原子力システムの「プロジェクト研究開発」は、”国と国民の発展
に役立つ”及び”民間が開発リスクを自力で吸収し、実用化に踏み出せるレベルにす
る”ことを大きな目的としていますので、新法人の主要な役割は、”実用化へのロー
ドマップを構築し、実用化が見通せるシステム性能・運転信頼性・安全性確保を開発
・実証し、メーカーが次の原子力システムの設計性能を保証できるようにすること”
と言えます。そして、「プロジェクト研究開発」の実施チームに民間技術者の参加が
望まれると思います。

3.「プロジェクト研究開発」は、プロジェクトマネジャーが責任と権限を持ち、強
いリーダーシップで展開する。
  原子力システムの「プロジェクト研究開発」は、関係する研究開発・技術・経験
を総合・結集したシステム技術の研究開発で、 Design Oriented R&D が一般的で
す。「プロジェクト研究開発」を効率よく円滑に展開し、新しい知見・予測に反した
開発結果などに適切・果断に対処するには、、プロジェクトマネジャーが責任と権限
を持ち、強いリーダーシップで展開しなければばらないと考えます。
  
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