EEE会議(Re:原子力二法人統合報告書(案)に対する意見:益田氏)..............................................2003.9.15

標記に関する益田恭尚氏(特別会員)のコメントです。 
--KK
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氏名: 益田 恭尚
報告書(案)の該当箇所(ページ数、行)
    全般、しいて言えば2章(2)新法人の業務推進の方向

●意見:
小泉改革路線の一つとして原子力二法人を統合することには特に異論はない。
また本(案)の表現は具体性に欠けるので事情を知らない人間には
文章上での具体的指摘は難しい。
日本のエネルギー問題の解決には原子力が不可欠であると考えているOB技術者とし
て、
統合される新法人の原子力研究の進め方について、意見を申し上げさせていただきた
い。

1.今や核燃料サイクルの方向性の明確化と開発は現原子力問題解決のキーポイント
である。
そのような問題意識のもと不退転の決意で高速増殖炉開発と燃料再処理、高レベル廃
棄物の処分問題に取り組んで頂きたい。
特に高速増殖炉の開発は学術研究というより工学の分野の開発研究であるとの認識で
開発研究を進めて頂きたい。
その達成には、先ず優れた計画設計の立案が基本であることは論を待たない。
実施に当たっては、基本計画に基づき正確な見積もりを実施し、許認可を取得し、品
質保証計画を立て、あらかじめ設定した工程計画と予算計画に従い建設していくとい
うプロジェクト管理が必須である。
プロジェクト遂行に当たっては経験豊富で実行力あるリーダーのもと、それぞれの分
野の責任者が責任をもって遂行していかなければならない。遂行過程においては必ず
問題に遭遇するが、これらを速やかに解決し、予算措置を講じ、総合的な予算と工程
を守って建設を進めて行かなければならない。
他の基礎研究と通じるところはあるものの、本質的に異なる性格のもので、横並び思
想で他の研究と画一的に管理したのではとても実現できるものではない。“もん
じゅ”の経験などを真剣に再検討し、業務推進の仕方について再検討して頂きたい。
(旧)文部省の感覚でこのようなプロジェクト管理ができるのかという心配が杞憂で
あることを願うのみである。
2.研究開発結果の有効活用という点について基本に返って検討し直して頂きたい。
従来の研究が実際に有効に活用されなかったとすればそれは何故なのか、民との関係
をどうすれば真に実社会に有効な研究となるのか、どのような点に欠陥があったのか
ついて反省し直すことが必要であろう。例えば海外に比べて経済的でかつ有効な研究
を提案し、民側の委託を受けて研究ができないものか、知的所有権を確立した上で、
合理的対価を受けることにより自由に利用可能とするシステムとすることができない
か等の点も考慮の対象となろう。勿論民間側にも問題点がなかったわけではないとし
ても、それはどうすれば改善できるのかという問題提起も必要であろう。