EEE会議(米ロの先制核攻撃の可能性増大)....................................................................03.10.04


新聞等ですでにご存知のとおり、ロシアのイワノフ国防相は10月2日、プーチン大
統領も出席した同国全軍司令官会議を主宰。席上、今後10年間にわたる同国軍事戦
略の指針となる新軍事ドクトリンを公表しましたが、「軍の近代化」と題された同ド
クトリンは、(1)大規模戦争、(2)地域戦争、(3)局地戦争―のいずれにも対応
する軍事態勢を維持することが目的で、その過程での核先制攻撃の可能性を排除して
いないようです。つまり、小型核兵器を念頭に置いた核の限定使用論を打ち出したも
のとみられます。

一方ブッシュ米政権も、度々お伝えしていますように、2003年10月1日からの
2004会計年度において、小型核兵器研究開発を本格化させました。米国も200
2年1月9日の「核戦略見直し報告」(Nuclear Posture Review=NPR)の中で、
核先制攻撃の可能性に触れています。

これで、今後米ロ両核兵器国は、状況によって必然的に非核保有国の領域を核攻撃す
ることもあり得る、ということになったと言えます。非核保有国を核攻撃しない(い
わゆる「消極的安全保証」)ということは、1978年に当時のカーター米政権が
英、旧ソ連と共同で、核拡散防止条約(NPT)の調印国に対し行った約束です。1
995年には、NPTの無期限延長決定と交換のような形で、米英ロに仏中も加わっ
て、この約束を再確認しました。これが一気にご破算になるかもしれないわけです。

米ロの動きには、他の核保有国も追随する恐れがあり、結果的に、世界的な規模での
安全保障戦略の再編成が起こるかもしれません。そうなると、日本も例外ではありえ
ず、今後国内で「日本核武装論」が益々喧しくなることは確かでしょう。

--KK